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住宅ライターの家づくり奮闘記

杉のテーブルに緑のクロスをかけてみました。クリスマス気分がぐっと高まりました。

土間の木の柵の塗装が剥がれてきました。雨の当たる上端の木口部分は特に気になるところ。樹脂のカバーでもつけてみようかな。

2013年12月24日更新

200年保つ家より200年続く工務店を

 12月も押し迫ってきて、ようやく年末年始のことを考えることができる状況になってきました。というのも、この秋からずっと地方出張が続いていて、家にいるときは原稿などを書いていたので、姿見の設置や障子の破れなども気になるまま、手がつけられず…。

 そんな取材行脚に出ていて、工務店や住関連メーカーなどの社長さんにインタビューした中でとくに印象に残ったのが、「200年保つ家より200年続く会社のほうが、お施主さんは嬉しいはず」という言葉でした。これは、表現やニュアンスは異なるものの、いくつもの取材先で耳にしました。

 今どきは昔ながらの良心的な工務店ほど経営が厳しい、という傾向があります。お客さんの経済的負担を軽くしよう、と利益分を抑えてでも低価格で見積もるために、入金がずれたり、融資が滞ったりするなどのアクシデントで運転資金が回らなくなる、という話はよく耳にします。

 ただ、住宅は建てて終わりではありません。そのあと少なくとも30年以上は住み続けたいと思っている人が大半でしょう。建てたときにきちんといい家であることと同時に、建てたあとも適切に面倒を見てくれる体制を備えた、住宅会社、工務店であって欲しい。

 今どきの建材・設備を今どきの施工技術で扱い、今どきの建築基準で建てれば、そうそうひどい建物にはなりません。私たちが子どもの頃に住んでいた住宅よりは、耐震性や断熱性などの基本性能は十分に高くなっているはずです。

 ただし、住宅は工場生産の精密機械ではありませんから、若干の施工の不備はありえますし、その地の風土や施主の生活に合わせた調整などは必要です。日々の使用に耐えるためのメンテナンスも折々に施していかなくては老朽化が進行してしまいます。これらの手入れにはやはりプロのバックアップがないと、なかなか実践していけないものです。

 200年保つ構造があっても、「住まい」として円滑に快適に機能させるための調整をする体制がないと、その家は壊されてしまいます。「200年続く工務店」であるためには、世代を超えて事業を継承させる準備が必要でしょうし、先行投資やアクシデントに備えた利益の確保、財務体制も求められます。住宅が長寿命化すれば、その分、OB顧客のケアやリフォーム、メンテナンスへの対応なども頻度が高まることでしょう。施主がそうした要求をし、住宅供給者側も対応していくことで、長いスパンを見据えた日本の住まいの形が成熟していくのではないでしょうか。

 とりあえず我が家の年末年始は、暮らしの「宿題」を片付けるのに追われそうです…。



住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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