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マイホーム入門<不動産の基礎知識>

2010年06月09日更新

土地を買うときの注意点

 今回は、注文住宅を建てたい人が、土地を買うときに注意すべき点についてまとめてみましょう。
 まず、最も重要なことは、候補にあがっている物件(土地)にどんな建物を建てることができるのか。定められた建ぺい率と容積率の掛け算で、おおよその建築面積と延床面積(の上限)を算出することはできます。が、実際、設計段階に入れば、斜線規制などで、その面積を確保するには地下を掘らなければならなかったり(その場合、相当なコストを加算しなければなりません)、部屋の天井の一部が斜めに削られるといったようなことが起こりえます。とくに、欲しい家の大きさに対してギリギリ収まる広さの土地を探している人ほど要注意です。土地を仲介する不動産会社は、重要事項に関する説明として、法令や条例の制限を明示する義務を負いますが、施主(あなた)が頭の中でしか描けていない理想の家に、それが具体的にどれほど影響を与えるかは伺い知ることができません。
 次に、道路付けです。例えば、容積率200%の住居地域であっても、仮に前面道路の幅が4mなら、原則として敷地面積に対し160%の延床面積の建物しか建ちません。建築基準法により、前面道路の幅員×0.4(商業などは0.6)を乗じた数値(×100)と都市計画で定められた容積率の低いほうを採用しなければならないからです。したがって、接道状態は、家を建てる上でとても重要な要素になります。また、接道が私道である場合は、持ち分を購入できるかどうか、維持管理の責任と負担などを事前に確認しておく必要があります。どんなに土地の形が良くても、たとえ見晴らしが良い立地でも、建物が十分に建てられるかどうかは道路付けにかかっています。土地の価値は道次第、といっても過言でははないのです。

 以上2点が大きな判断材料としての基本項目ですが、それ以外にも知っておいたほうが良いことを4つほどあげておきましょう。
 まず1つは、敷地の境界です。隣地や道路との境目に境界杭があるかどうか、しっかり確認する必要があります。境界杭がスムーズに打たれないケースでは、何かしらトラブルを抱えている場合も考えられます。仮に、現況は杭がなく、売主の責任で境界を定めると念書をもらい、さきに引き渡しを受けたとしても、実現するかどうかは別問題。引渡しまでに杭が打たれ、境界確認書とそれに基づいた実測図が揃っていることが取引の前提になります。
 2つ目は、地盤。あまりに弱ければ、地盤改良のコストがかさんだり、工法に制約がつくことも考えられます。事前に役所で調べたり、業者に頼んで調査をかけるなどの対応を取られることをお勧めします。
 3つ目は、近隣。あえて説明するまでもないと思いますが、ご近所になる(かもしれない)人がどんな人なのか、気になるのは当然のことです。買う前の段階で1件1件挨拶するのは現実的ではないかもしれませんが、不動産会社を通して売主から情報収集するなどできる範囲のことはしましょう。
 4つ目は、資金計画です。土地代と建物代のおおよその予算は立てていても、これまで述べてきたように、買った土地によっては想定外の出費がかかる場合があります。また、工期はどれくらいの期間なのか、工事代金の支払い時期とその割合など、いつどれだけ必要か、土地購入の契約前にイメージしておく必要があるでしょう。とくに住宅ローンを使う予定であれば土地を買う前の段階から金融機関に相談しておいたほうが賢明です。

 ざっと、注意点としてまとめましたが、ここまで来て「はじめて不動産を取引する人間にとってはわからない(あるいは難しい)ことばかりだなあ」と感じた人も多いのではないでしょうか。もしかしたら、分譲住宅がラクで良い、と方向展開を考える人もいるかもしれません。
 しかし、ご安心ください。良い方法をアドバイスしましょう。それは、土地を探すのと同時に、注文住宅を依頼する会社(もしくは設計士や建築家)を事前に当たっておくのです。そして土地の検討段階において、専門家として助言してもらえるかを打診してみましょう。できれば、発注を確約しなければならないのか(や調査費用が発生するかどうか)をはっきりさせておいたほうが、お互いやりやすいかもしれません。満足度の高い注文住宅に住めるかどうかは、結局のところ、よりよいパートナーを見つけることができるかどうかにかかっているといっても良いのです。

【参考記事】
■”いつきてもおかしくない”大地震予測
■東京の液状化予測マップ
■「東京湾の津波」対策を見直し



家の時間
編集部
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