2011年04月07日更新
東京の液状化予測マップ
東京都建設局の下部組織である「東京都土木技術支援・人材育成センター」が、「東京の液状化予測図」をWEB上で公開しています。「東京の液状化予測図」では、「液状化が発生しやすい地域」「液状化の発生が少ない地域」「液状化がほとんど発生しない地域」の3つに分類し、それぞれを色分けして表示しています。さらに、3分類のなかにも、それが「東京低地の液状化予測図」(昭和62年作成)によるものか、あるいは「東京港埋立地盤の液状化予測」(平成3年度)、「武蔵野台地・多摩丘陵の液状化予測」(同8年度)によるものかがわかるよう、さらに色分けされ表しています。
この予測図によると、湾岸エリアと城東エリアを除く大半が「液状化がほとんど発生しない地域」に指定されているわけですが、例えば世田谷区の多摩川に近い場所などは「液状化の発生が少ない地域」に色付けされています。さらに、目黒区の京王井の頭線「駒場東大前」駅の近くが同じく「液状化の発生が少ない地域」になっており、海や川の近くだけが液状化の対象エリアでないことがわかります。また、「東京港埋立地盤の液状化予測」によれば、同じ湾岸地域でも、「液状化が発生しやすい地域」「液状化の発生が少ない地域」「液状化の発生がほとんど発生しない地域」にそれぞれ細かく分かれています。したがって、一様にイメージだけで判断してはなりません。
「東京都土木技術支援・人材育成センター」のホームページでは、「東京の地盤(Web版)」も公開されています。「東京の地盤(Web版)」では、地質調査から得た情報を地質柱状図で表示しています。もちろん、すべての地点で調査されたわけではありませんが、区のなかでも町名別に調査地点が地図にプロットされています。おおよそ、その地域の地盤がどういった土質からなりたっているのか、また一方で、同エリアでも場所によって地質に相当違いのあることがわかります。目で見ることのない地中の様子がある程度把握できるとても貴重な情報です。「東京の地盤(Web版)」には、標準貫入試験結果も併記されています。標準貫入試験とはN値(ボーリング調査)を求める試験のこと。N値とは重りが杭をたたき、打ち込み回数と杭の入っていく深さを計ったものです。このN値が50に至った場所が支持層と呼ばれるもので、マンションの基礎杭などはその深さまで到達させるよう設計施工がなされます。
一般的に、新築マンションを買う場合、地盤に関する情報は売主であるデベロッパーが情報を提供してくれますが、中古マンションを検討するなら自ら求めなければなりません。一戸建てや土地購入の場合はさらに深刻で、地盤の状態で「地盤改良の必要性」や「構造の制限」にも関わりますから、十分に下調べする必要があります。地盤情報と住宅購入は切っても切り離せない間柄であることを心得ましょう。ちなみに、前述した目黒区唯一の「液状化の発生が少ない地域」ですが、現地に確認に行ってきました。すると、対象ゾーンは台地と台地の谷間にあたる地形で4m道路になっていました。さらに少し離れた高いところに池があり、田んぼに水を引いていました。その田んぼの少し下の位置が対象ゾーンだったわけです。つまり、池から流れた水が田を満たし、川に戻され、その上が道路になったということです。周囲100mを視察すれば、要因がつかめます。便利なWEB情報を活用しながらも、現地の周囲をしっかり見ておくことが大切です。
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