2011年11月02日更新
地盤調査の方法
東日本大震災以後、敷地の地盤や建物の構造に関心が高まっています。そこで今回は、地盤調査の方法について解説します。
木造一戸建ての建築を前提とした場合、地盤の調査は「スウェーデン式サウンディング試験」という方法で行われるのが一般的です。これは先端の尖った棒に段階的に重りを載せていき、地中に棒が沈んでいくのを記録します。最大(100キログラムの重り)でも静止する場合、今度は棒を回しながら計測を続けます。調査報告書には、25センチメートル毎に要したおもりの重さや(半回転を1とした)回転数と換算N値が記載されるとともに、作業した人の感触のような「ジンワリ」や「ガリガリ」などといった表現も深度毎に記されています。
この「スウェーデン式サウンディング試験」は、狭い場所で少人数(二人)でも計測できるのが特徴です。またひとつの敷地で四角と中央を測っても半日程度で終わらすことが可能です。
次に、鉄筋コンクリート造のマンションの場合は「標準貫入試験」というで方法で計測が行われます。こちらは、63.5kgのハンマーを75センチメートル落下させ、地中に杭が30センチメートル沈むために要する打ち込み回数を測ります(右の画像参照)。この打ち込み回数が「N値」と呼ばれるもので、地盤の硬さを表す単位として使われます。値が大きいほど硬い地盤であり、逆に数値が小さければ軟弱地盤だと判断されます。マンションを建てる場合は、N値50以上の地盤が5メートル以上ある場所を支持層と定め、その深さまで基礎(杭を打設する)工事を行います。支持層が地表に近いかどうかで地盤の善し悪しが決まります。
例えば、東京湾近くのマンション現場などでは、支持層が地下30m~40m以上も深くなる場合があります。また内陸部であっても20m以上杭を打つ(つまり支持層が深い)ことも珍しくありません。一方、地表すぐ近くに支持層があり、杭を打たずに直接基礎工法で建てる場合も稀ですが存在します。
支持層になる基準は建物の重量によって異なります。一般的な木造一戸建てならば、N値10程度になれば地盤調査は打ち切られるケースが多いようです。
【参考記事】
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