2009年06月24日更新
家族が喜ぶ住まい選びの視点
マイホームを購入する動機は人それぞれです。「資産を持ちたい」「広い家に暮らしたい」、あるいは「金利が低いから」。また最近では「税制優遇が手厚くなったので」という理由も多そうです。
しかしどんな時流であっても、常に上位にあがる動機があります。それが「子どもや家族のためにマイホームが欲しかった」というもの。子どもをのびのび育てたい、とは親ならば誰もが願うこと。小学校に入るまでに地元を決め、友達もたくさんつくって・・・・そのためにもマイホームを買おう、と一大決心するのです。では、子どもや家族が喜ぶマイホームとはどのような住宅でしょうか。
話は少しさかのぼりますが、昭和30年代初頭の高度経済成長期。当時は住宅不足を解消すべく、大量の公団住宅が供給されました。4、5階建ての鉄筋コンクリート造の建物は、階段が数列配置されており、各戸は玄関ドアが向かい合った2戸1の設計。そこでは、同じ階つまりお隣同士からはじまって同じ階段(列)でのコミュニティがごくごく自然発生的に醸成されていました。
コンビニもなかった当時、調味料の貸し借りなどは日常茶飯事。少しの間、幼児の面倒をみてもらったり、買い物を頼んだり、”共に暮らす”心地良さをお互いが当たり前のように与え合っていました。子どもの輪も、階段から棟へ、棟から棟群へ、と大人以上の早さで活発化したことは容易に想像できるでしょう。
ただひとつ難点があったとすれば、音の問題です。当時コンクリートスラブの厚さも今ほどはなく、二重床二重天井でもありませんでした。ですから、子どもが飛んだり跳ねたり自由気ままにふるまえるほどの遮音性を持ち合わせていなかったのです。
あれからおよそ半世紀が経ちました。説明するまでもありませんが、いまでは一般的な集合住宅として「分譲マンション」が普及しています。品質、機能、そしてデザインまでも格段の進歩を遂げた現代の集合住宅。家族のために”共に暮らす”利点をぜひ活かしてほしいと思います。
分譲マンションの大型化は、豊富な共用施設に代表されるハード面だけでなく、街づくりの視点でソフト面の充実も注目されはじめています。
写真は、柏の葉キャンパスエリアで行われた子ども主役の地域交流型イベント「ピノキオプロジェクト」(主催:三井不動産レジデンシャル)。
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)
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