2009年07月22日更新
時を経ても価値が下がらないヴィンテージマンションの条件
近頃では、最初から新築か中古かを決めることなく、間口を広げてマンションを探している人がますます増えてきたようです。住みはじめの状態よりも「末永く暮らしやすいかどうか」に重きを置くようになったのでしょう。
そんな傾向を象徴する現象として、いまマンション市場では、経年に耐えうる性能はもとより、逆に時間の経過を味わいに換えるような”ヴィンテージマンション”が注目されています。そこで今回は将来ヴィンテージ化するマンションの普遍的な条件を立地と建物に分けて考えてみましょう。
まず立地ですが、資産性を重視するなら貸せる不動産を選べといいます。たしかに、万が一の未入居時に賃貸に出せるというのは心強いものです。しかし、住宅の価値は単純に利回りだけではかれるものではありません。あくまで居住性が高いかどうか、が重要です。
したがって、利便性の高さ(資産性)と住みやすい環境(居住性)を併せ持った立地であることが条件となります。居住価値に永続的な愛着が芽生え、その積み重ねが需要となり、資産価値へと波及していきます。
次に、街並みの形成に貢献できるプランニングであることが建物の条件です。商業的要素をあからさまに感じさせる法制限ぎりぎりの建物ではなく、地域の安全や景観への配慮を感じされるプランであること。たとえば街並に溶け込む外観デザイン。歩行者を考えた道路や視界の確保。季節感を演出する緑の配置などです。
また、専有部分においては永住可能なゆとりの面積が確保されていて、可変性に優れていることも大切な要件です。芽生えた愛着を育て、膨らませることで建物はしかるべきメンテナンスが施されるようになります。
ヴィンテージマンションの代表格「広尾ガーデンヒルズ」(渋谷区広尾4丁目)。駅から徒歩5分以内とは思えない、都心でありながら豊かな自然環境に恵まれた一角。広大で高低差のある敷地を利用して、15の棟が統一感を保ちながらも個性を違え建ち並んでいます。
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)