2009年10月14日更新
マンションの住空間を自由な発想でデザインする
「分譲住宅を買ってみようか」と物件を探していると、たいていの人が程度の差はあれ、間取りプランに物足りなさを感じるのではないでしょうか。
とくにマンションの場合、そう思うことが多いはずです。なぜなら、まずマンションでは角以外のほとんどの住戸において2面採光を強いられます。しかも(敷地形状や方角などの条件にもよりますが、)間口の幅も制約を受けることが多く、おのずと居室や水回り配置が決まり、どこにでもあるような”ありきたりの間取り”ができあがってしまうからです。
それでも与えられた条件の中で、できるだけ住みやすいプランを作ろうと設計者も知恵を絞るわけです。が、あまり突拍子のない間取りにして買い手がつかず、在庫のレッテルを貼られては決して成功とはいえません。だから、一般的にみて”住空間として差し支えのないレベル”を目標に空間が仕切られていってしまうのです。
けれども、本来暮らしというものは十人十色なはず。住みやすい間取りは、人それぞれ異なるはずだろうという考えが一般的です。そのため、誰もが満足度の高い間取りを描こうとするなら「限りなく注文住宅に近い工程」をとる必要があるのではないか、という考えが業界の中での一つの結論になっているように思います。いわゆる「オーダーメイド」マンションと呼ばれている方式がそうです。
しかし、本人に聞く方法でしか秀逸なプランニングは実現しないのでそうか。分譲マンションにおいて既成のプランニングの範囲では、顧客の満足を得ることは無理なのでしょうか。70点ラインで最大公約数をねらったものではなく、満点の評価を受ける間取りの商品化を図ることは本当に困難なのでしょうか。
もしデベロッパーが、こだわりのライフスタイルを応援する立ち位置をとるのであれば、住宅のプロだからこそ、オーダーメイド方式をもしのぐ、新しい発想やアイデアの投入を続けて行くべきではないかと私は思います。市場もそれを求めているはずです。なぜなら、構造躯体や住宅設備の進歩による断熱・換気性、あるいは可変性の向上など、空間を考える上での「選択肢の広がり」はデベロッパーだからこそ熟知できるものであり、その効用を十分に発揮できる立場にあるからです。
2009年度グッドデザイン賞にも輝いた、三井住空間デザインコンペ選出作「親と子の新しい住まい」。長さ11mの”机ギャラリー”を核とした家族のコミュニケーションが自然と生まれる住まいを提案<画像:洋室から机ギャラリーをみる>パークホームズ成増マークレジデンス
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)
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