2010年01月20日更新
長期優良住宅認定マンションにみる物件選びのヒント
住宅は何を持って”優良”とするのでしょうか。例えば現在の建物の耐震基準は1981年6月に改正された建築基準法に基づき定められたものです。業界ではこれを「新耐震」といいますが、中古マンションの流通過程においては、その物件の設計が「新耐震の前か後か」で売り出し価格に少なからず影響してくるといわれています。
同じように住まいの価値に大きくかかわる住宅関連法としては、2000年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が挙げられます。住宅性能表示制度や10年間の瑕疵保証、そして紛争処理機関の設置など、この法律を境に住宅の性能が客観的に示されるようになり、品質の確保と購入者の安心度合が高まりました。
耐震基準に品質確保。いずれも安心・安全な住まいの基礎条件ですが、欧米に負けない長寿命な住宅を推進するための法律が昨年施行されました。それが「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(略して長期優良住宅法)」です。
「いいものを作って、長く大切に使う」。ストック型社会への転換を暮らしの基盤である住宅で推進していこうとするものです。長期優良住宅として認定を受けるには、劣化対策や耐震性、省エネ性など9つの基準をクリアしなければなりません。そして、認定を受けた分譲マンションの購入者は、住宅ローン返済の長期化や住宅ローン控除などさまざまな優遇を受けることができる仕組みになっています。
では、この長期優良住宅の認定を取得する予定のプロジェクトが今後急増するのかどうかですが、業界全体としてはではまだまだ様子見の状態といえそうです。最大の理由はコスト高。2割前後かかる(と噂される)建築費増をどこで補うかがポイントになりそうです。
そんな中、日本で初めての長期優良住宅認定の分譲マンションが販売活動を開始しました。長谷工コーポレーションが分譲する「ブランシエラ浦和」。長期優良住宅先導的モデル事業にも採択されたこのマンションには、「耐震強化に適した用地と建物の形状」、「地域やロケーション上の資産的な魅力」、「永住に相応しい居住面積の確保」など”優良なマンション”であるための必要な条件がすべて揃っているようです。
これらの条件はいずれも資産性を推し量るときの条件に合致するところが多く、長期優良住宅を知ることは、いわば「資産価値を重視したマンションの条件を知ること」と置き換えることもできるでしょう。マンション購入を検討されている方は見ておきたい現場です。
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「ブランシエラ浦和」のモデルルームでは、可変性に優れた床先行工法や維持管理の容易なステンレス配管の継手を実物ブースで確認することができる。
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)
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