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本当に暮らしやすいマンション選び

2010年06月16日更新

資産価値を高めるキーワードは、立地と”地元力”

 昨今、資産価値を尺度にマンションを購入する人が増えました。年齢や性別、職業を問わず「買うなら資産価値のある物件を」と口をそろえます。しかしこうした傾向は、じつは時代の流れとして幾分逆行しているのではないか、との見方ができなくもありません。というのも、土地神話を疑わなかった昭和の時代ならまだしも、バブル崩壊後のデフレ経済下では、一戸建てのみならず、もはやマンション選びにおいても永住志向が主流となっていたからです。長く住むことを前提に選ぶ場合は、広さや向き、周辺環境などが優先されるのに対して、資産価値に重点を置いた場合、リセールバリューや貸しやすさが決め手になります。つまり、資産性と永住性は、結果として(長く住んだ後で振り返ったときに)両立することがあったとしても、入口(購入)におけるプライオリティは明らかにその内容が異なってしまうのです。

 では、果たしていまマンションを買う人は長く住むつもりがないのかというと、決してそんなことはなく、転勤など何らかの事情がない限りはずっと住むことを想定しています。したがって、ともすれば相反するねらいの中で、注意して物件選びをしなければならないわけですが、そのヒントを提示する前に、近頃のマンション選びでは、なぜこうも一様に資産価値偏重になったのか、その原因となりうる事象をまずはいくつか挙げてみることにしましょう。

 第一に、大きな枠組みとして、東京圏の不動産のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が、長らく続いたデフレを経て02年頃から、国際的にみても投資対象としての魅力があるとあらためて認識されだしたことです。オフィスや商業施設を中心に、J-REITやプライベートファンドを通じて世界中から投資マネーが集まった現象はまだ記憶に新しいことでしょう。そして第二に、その買収合戦が引き起こした都心部のバブルが、地域によって値上がり幅に大きな差をもたらしたこと、また、それが短期間のうちに収束(つまり下落など)し、同じエリアのなかでも個々の条件の違いが価格の上下変動に大きく影響することが実証されました。
 不動産業を営むプロや個人投資家だけでなく、一般の人たちも、この急騰と急落を目の当たりにしたことで、物件選択の大事さをあらためて知り、マイホームを購入するなら資産価値を見定めてから買いたいとの意識が芽生えたのではないでしょうか。

 さらに、晩婚化や少子化、高齢化がもたらした単身あるいは二人世帯向けの住宅ニーズの増加も見逃せない第三の要因として挙げられます。公園や学校を周辺施設の条件として掲げるファミリー層ではなく、利便性や自分のライフスタイルが実現できる立地にこだわる成熟時代の新たな需要群は、(例えば子育て世帯の、母親の実家に近くて環境にも恵まれている、といったような希望条件に比べれば)、選択肢の幅を広く持つことが可能です。したがって、資産価値にこだわっても、候補となり得る物件を潤沢に(もしくは、いくつか確実に)確保することができるのです。

 国全体としてみれば、人口減少のなかで、住宅需要が総じて高まるといった予測は立ちません。しかしながら、好条件の不動産なら、実需だけでなく投資的なニーズも呼び込んで安定した価値を維持し、さらに、社会構造の変化のなかで利便性を求める需要が恒常化し、資産としても盤石で住まいとしても魅力のある物件は、今後ますます注目されていくことが十分考えられます。
 ではこれらの三つの背景を踏まえたうえで、今後どんな物件が期待できるのか、が気になるわけですが、それにはやはり「エリアナンバーワン物件(地域で最もステイタスがあるマンション)」を探すべきだ、が応えになります。

 噛み砕いて表現すれば、「地域で最も好条件の立地」で「地元の力(その場所だからこそ得ることのできる暮らしや魅力)を最大化できる建物のつくりやサービスが組み込まれたマンション」となります。この2つは、資産価値の形成だけでなく、永住志向にも合致する要件です。立地がすべて、といわれた昭和のバブルのときの尺度ではありません。繰り返しになりますが、人気エリアのなかでもより細分化したピンポイントの希少性、地元を熟知した上での付加価値の装着、この2点の見極めが大切です。
 具体的な例として、「パークハウス江ノ島」(分譲主は三菱地所)を参考にしてみましょう。駅徒歩3分ながら現地の目の前がビーチ、という良好なロケーションをいかし、サーフボード置き場はもちろんのこと、エントランスわきに温水シャワーを設置し、同社では珍しく屋上開放に大型犬飼育も可、ペットの足洗い場まで完備しました。レンタサイクルやバーベキューコーナーもあり、総戸数77戸の規模にしては相当な付加価値が用意されたといえるでしょう。さらに外観、植栽、間取りプランや建具の選定に至るまでコンセプトが一貫しており、この地域をよく知る人ほど高い評価を付けています。実際の売れ行きも良く、供給を計画よりも前倒した模様。立地の希少性と、そこでしか得られない魅力を引き立てるアイデアがうまくかみ合えば、予想をはるかに上回る需要が湧き出るのです。


江ノ島、、富士山、そして海に沈む夕日を正面に臨む。HP:パークハウス江ノ島

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資産価値は立地と”地元力”




『家の時間』主宰
坂根康裕
『家の時間』主宰 坂根康裕

リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)

 

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