2010年09月15日更新
失敗しない中古マンション購入法
中古マンションを買って、自分の好きなようにリフォームして住む。そんな考え方が増えてきました。新築よりも割安であるし、同じ場所内での選択肢も多い。実物を見て決められることも、青田売りの新築マンションにはない大きな魅力です。
しかし、良いことずくめではありません。中古マンションにもそれなりのデメリットが存在します。せっかくのマイホーム購入が失敗にならないよう、中古ならではの落とし穴を事前に理解しておく必要があるでしょう。
中古住宅を検討する上で、まず把握しなければならないことは、住宅の性能が時代によって大きく異なってきたという事実です。代表的なものとして耐震性、遮音性、断熱性などが挙げられるでしょう。
現在の耐震基準は1981年の建築基準法改正で定められました。したがってそれ以前に設計されたマンションは注意が必要です。基準を満たしていない建物は今後ますます問題視される傾向にあるかも知れず、これは資産性の意味でも十分に知識を習得しておきたいテーマです。
また耐震性と同様に、自分一人では解決できない性能が遮音性です。床や壁のコンクリートの質や厚さは時代とともに向上してきました。上下左右の音の問題、それに伴うリフォーム時における床素材のルール(フローリング禁止など)は事前に確認しなければなりません。
断熱性も進歩が著しい分野です。いまでは、かなり普及した複層ガラスも、10年以上前のマンションではあまり見かけないはずです。これは水光熱費といった生活コストにも大きく影響することですから、省エネを心掛けたいならばなおさらその差を確認しておくと良いでしょう。
次に、中古マンションを選ぶ際の注意点として挙げたいのは、これまでの経歴を把握しておくべきだということです。これには2つに意味があります。建物の経歴とコミュニティの経歴です。
建物の経歴とは、劣化や修繕などに対する処置、コスト負担などの経緯です。買ってすぐに多額の一時負担金を徴収されることになった、などということにならないよう事前調査が必要です。コミュニティについても、管理費や修繕積立金が延滞なく集まっているのかどうかに加え、できれば現在話し合われている管理組合の議題を議事録などでチェックしておきたいところです。
いくら自分好みのインテリアが実現したとしても、常に不安がつきまとったり、快適性が損なわれるような状態になってしまえば、そのマイホーム選びは成功したとは言えません。性能の違いや物件の経歴をよく理解して、後悔しないを物件を選びたいものです。
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)
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新築か中古か?