2011年01月12日更新
タワーマンションの「長周期地震動」対策
先月21日、国土交通省は「超高層建築物等における長周期地震動への対策試案について」意見募集をはじめました。これによると、既存の超高層建築物も含め、今後は長周期地震動を考慮した構造計算を求め、必要であれば補強を要請するなどの対策を講じるとしています。この試案が現実のものとなれば、タワーマンションは少なからず影響を受けることになるでしょう。これまでけん引してきた分譲市場にもその余波を与えそうです。
長周期地震動とは、1回の揺れが2秒以上の「ゆっくりとした揺れ」で、人が感じにくいとされています。したがって、どうしてそれが大きな問題になるのか分かりにくい面があるかも知れません。
2004年10月に起きた新潟県中越地震で、震源から200キロ近く離れた六本木ヒルズのエレベーターに損傷が見られました。これにより、森ビルは長周期地震動対策を講じ、それ以後の新潟中越沖地震(2007年7月)や岩手県南部沖地震(2008年6月)では震動を検知し、自動停止したと報告しています(参考サイトを参照)。
問題は、超高層建築物の固有振動(物体を自由に振動させた際に検出される特定の振動)と長周期地震動が一致しやすく、家具が飛び交うなど甚大な被害が想定されること。また地震波による長周期地震動は、「東京、大阪、名古屋のように堆積層の厚い平野部などで大きな影響が出やすい」(国土交通省HPより)としています。
- <参考サイト>
建築物の構造と規模 | 固有周期の目安 |
高さ60m(20階建て程度) | 1~2秒程度 |
高さ200m(50~60階建て程度) | 4~6秒程度 |
免震建築物 | 最大8秒程度 |
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)