2012年03月07日更新
いまどきの「エコマンション」、その具体的な中身
「エコマンション」という言葉を耳にしたことはありますか? 環境にやさしい設備やしくみを取り入れ、サスティナブル(永続可能)な社会づくりに貢献する集合住宅、そんな解釈が妥当でしょうか。今のところ、具体的な基準や条件が明確に定義付けされているわけではありません。
住宅の品質確保等を促進する法律(略称「品確法」)で定めた住宅性能表示制度では「省エネルギー対策」という項目があり、床、壁、窓などの断熱性能によって等級が決定されます。一般的にエコと聞いてイメージする、省エネ機器や緑地の有無といった項目は対象にありません。
では、実際の市場において、どのようなマンションが”エコ”と謳っているのでしょうか。業界に先駆け、環境をテーマに掲げてきた三井不動産グループの新築マンションを例に挙げ、その詳細を以下にまとめてみました。
「パークシティ南浦和」(三井不動産レジデンシャル・総戸数211戸)
■いかす
自然エネルギーをいかす、との考えの下「太陽光発電システム(晴天時に1時間で最大10kw)」と「蓄電池システム(60kw)」を組み合わせ、共用部の照明、エレベーター(一部の棟)、管理室の機器類、シェアリングするEVカーへの電力供給。雨水を貯め、中庭に散水。
■ここちよく
クーリングミストの設置、家庭菜園スペースの設置、保水ブロックの活用、高反射塗料を屋根に使い、熱のこもるのを抑える。
■分け合う
カーシェアリング(EV)、充電ステーションの設置、シェアサイクルの導入。
■かしこく
LED照明、一括受電システム、セーブアースディスプレイ(ガス給湯器で使用する湯と電気の消費量・料金目安を表示)、ディスポーザー、パッシブウィンドウシステム(引き違い窓を人が通れないくらい細く開けたところで止めるストッパー)、緑のカーテンシステム(1階住戸のみグレーンカーテン用にフック)、人感センサー、エコガラス(Low-e)、保温機能付き浴槽、エコジョーズ、節水水栓、節水トイレ。経済効果は、すべてあわせて年間約76,622円の生活費ダウン(三井不動産レジデンシャル試算)。
ディスポーザーや節水トイレなど、すでに市場で普及を見る設備も多く含まれています。モデルルームでは、実際にどれだけのゴミが削減されるのか、あるいは節水の効果があるのか、数字だけでなくゴミの重さやペットボトルの実本数を飾ってそれらを体感できる工夫がなされています。このような見せ方そのものがエコを浸透させる取り組みのひとつ、との認識ができなくもありません。まさに”いまどき”といった感がします。
また、この物件では、サイト上でエネルギー消費量の削減を競い合うことができたり、子育て製品を譲り合う仕組みを考えたり、集合住宅だからできる新たな仕掛けづくりも行われています。ハードだけでなく、ライフスタイルのなかに自然に受け入れられるようなサポートプログラムも今後広がりそうです。
「パークシティ南浦和」モデルルーム
玄関前に三輪車やベビーカー、グリーンの置けるスペースが用意されている。
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)