2012年04月04日更新
「ユナイテッドアローズ」がマンション市場に進出
分譲住宅は、短期間で億単位の資金を回収する事業です。なかでも総戸数が数百戸にのぼる大規模マンションともなれば、その予算規模は数十億円から数百億円にも膨れ上がります。したがって、確かな品質や適正な価格設定が必須であるのはもちろんのこと、販売するにあたっては評判やイメージにも気を配る必要があります。
その意味で、工事中に販売をスタートさせる「青田売り」は、モデルルームの出来栄えなども重要な鍵を握ります。そこでは実生活に必要な家電や家具はあまり置かず、できるだけ「あこがれの空間」を形にするようにして作りこみます。雑誌の巻頭を飾るようなインテリアを具現化する、といった感じでしょうか。
奇をてらった戦略はリスクが大きいために、結果としてどの現場でも似たような印象のモデルルームができてしまいます。もちろん、デザイナーによって雰囲気が異なったりはしますが、大くくりで見れば「明るくて、高級感のある空間」といった表現に収斂されるといえるでしょう。
こうした現状に対し、アパレルブランドの『ユナイテッドアローズ』は「リッチ、ゴージャスといった視点に偏りすぎでは?」(クリエイティブディレクター 鴨志田康人氏)と違和感を唱えます。実際の暮らしとは、少しかけ離れているということです。「ビジュアルを意識するのはわかるが、そんなに気取ってどうする?」「”もっとリアリティのある住空間を提案できれば”という思いが募っていました」(同)。
そこでこの度「ユナイテッドアローズ」は、野村不動産の「プラウドタワー東雲キャナルコート」とコラボボレート。購入者に対して、オリジナルのオプション販売を用意しました。具体的には、壁面を活用した収納ディスプレイ、収納スペースの細かなバリエーションラインナップなどです。マンションの居室の収納には、ハンガーをかけるバーと棚板が1枚渡してあるくらい。ネクタイを掛けたり、折りたたんだシャツを仕舞うスペースは自分で工夫しなければなりません。その悩みに対する提案です。
ファッションブランドが住や食といったライフスタイル全般に拡充する例でいけば、「アルマー二」が典型的。目指すところは同じですかと聞いてみたら、「まさにその通りです。これが、念願のインテリア第一弾。いずれ一軒家を手がけてみたい」とのことでした。
「プラウドタワー東雲 キャナルコート」(野村不動産)は有楽町線「豊洲」駅徒歩11分、52階建て総戸数600戸のタワーマンション。完成引渡しは平成25年4月下旬予定。設計、施工は大林組。震災後初の湾岸タワーマンションとして注目を集めています。
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- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)