2013年06月05日更新
トライスタータワーが選んだ構造
現在、東京の湾岸エリア(江東区豊洲)で”超大型”のマンションプロジェクトが進行しています。
物件名は「SKYZ TOWER&GARDEN(スカイズ タワー&ガーデン)」。総戸数は1,110戸。大手の総合デベロッパー6社が共同で分譲するという、大変珍しい事業です。交通アクセスは、有楽町線「豊洲」駅から徒歩12分、ゆりかもめ「新豊洲」駅徒歩5分。販売価格は坪単価にして@250万円台予定。予定最多価格帯は5,500万円台(70㎡台)。今週末(6/8)からモデルルームが正式にオープンします。
「SKYZ TOWER&GARDEN(スカイズ タワー&ガーデン)」は、地上44階建てのタワーマンションで、トライスター型であることが特徴のひとつ。眺めの良い部屋をたくさん用意できることやランドマークたり得るデザイン性を考慮してそのような形状を選択したもようです。
事業主の発表によれば、主な特徴は6点。①大手6社の大規模プロジェクト ②デザイン性に優れた地上150mのトライスタータワー ③外観、共用デザイン ④地中熱利用などエコ対策 ⑤免制震システムなど防災対策 ⑥天井高2.6m(最上階のみ3.0m)など快適な住空間。このなかから⑤の免制振構造と地盤に焦点をあてて解説してみましょう。
基礎杭は地下58mまで84本打ち込みます。「東京の地盤(Web版)」(東京都土木技術支援・人材育成センター)を見ると、現地の地質柱状図は確認できませんでしたが、周辺のデータでは地下10数メートルまでは、N値一桁が多いようです。地震ハザードステーションにおける表層地盤増幅率は「2.26」。「特に揺れやすいエリア」の範囲内に含まれます。微地形区分は埋立地。
設計・施工の清水建設はこの軟弱な地盤に対し、免震と制振を組み合わせた「免制震システム」を採用しました。制振は風揺れも考慮しているということです。装置は梁の境界に低降伏点鋼ダンパーを組み込む手法で、これはトライスター形状によるねじれの揺れを緩和させるために開発された技術。つまり、この物件だからなしえた構造設計であって、一般的な整形の建物にも応用できる(=効果が上がる)かどうかは不明です。この先進技術を用いて独自に開発した「免制震システム」によって、地震の揺れがどれだけ低減できるかは非公開だとしています。
エコ対策として「地中熱」を利用した空調設備(共用部の一部)を導入しています。年間を通じ17度程度に安定した地中熱を活用することで、年間の電気代を28万円削減します。設備コストが高く、普通の規模では導入が困難だとか。こちらも費用は未公表とのことでした。
【物件概要】 | ||
所在地 | : | 東京都江東区豊洲六丁目10番8 |
交通 | : | 東京メトロ有楽町線「豊洲」駅下車徒歩12分 ゆりかもめ「新豊洲」駅下車徒歩5分 |
総戸数 | : | 1,110戸 |
専有面積 | : | 53.25m2~130.92m2 |
入居 | : | 平成27年3月下旬 |
敷地面積 | : | 21,242.52m2 |
構造/規模 | : | 鉄筋コンクリート造(住宅棟)地上44階建 |
売主 | : | 三井不動産レジデンシャルほか |
施工 | : | 清水建設 |
【参考記事】免震と制震の基礎知識<番外編>
「SKYZ TOWER&GARDEN(スカイズ タワー&ガーデン)」モデルルーム
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)