2013年12月11日更新
スーパーゼネコン施工のマンションに希少価値が生まれる!?
先月「豊洲新市場の工事が入札不調」に終わったニュースは、まだ記憶に新しいところかと思われます。200億円規模の3施設が落札者なし。発注者である東京都の予定価格と参加業者の見積り額が合わなかったわけですが、総額1300億円にもなる大型プロジェクトに大手ゼネコンが拒否を示すことは、業界の商慣習上も異例のことだと言われています。それだけ建築資材や人件費の高騰が激しいということなのでしょう。
前回記事、「プラウド」マンション建築費上昇の対抗策でも触れましたが、マンション業界もご多分に漏れず建築コスト上昇の問題は深刻化する一方です。長引く不況のときは「採算度外視」(業界関係者)で仕事を取ってきたゼネコン各社も、これからは慎重になることが十分予想されます。そもそも住宅はアフターサービスなどが徹底されていることもあってか、施工業者の儲けが出にくい分野だと言われてきました。
「2012年首都圏新築マンション購入者動向調査」(リクルート住まいカンパニー調べ)によれば、マンション購入検討時、「施工会社の信頼度」を重視すると回答した人が23.7%。なかでもシニアカップルは34.8%(3人に一人以上!)と非常に高い数値をはじき出しています。人生経験の長い顧客ほど「施工の重要性」を意識していることがわかります。
では実際、ゼネコンのマンション施工実績はどういった顔ぶれなのでしょうか。「カンテイアイ Vol.75」(東京カンテイ発行)によれば、東京都(2012年竣工ベース)における施工実績は「1位長谷工コーポレーション、2位合田工務店、3位東急建設、4位前田建設工業、5位淺沼組、6位住協建設、7位新日本建設、8位熊谷組、9位大木建設、10位大和小田急建設」。
一方、*地上60mを超える(20階建て以上)超高層(タワー)マンションに絞れば、「1位竹中工務店、2位鹿島建設、大林組、4位清水建設、5位長谷工コーポレーション、6位前田建設工業、7位大成建設、8位三井住友建設、9位フジタ、10位戸田建設」、先進技術である免震や制振の*実績では「1位竹中工務店、2位鹿島建設、3位大林組、4位清水建設、5位前田建設工業、6位大成建設、7位フジタ、8位長谷工コーポレーション、三井住友建設、10位奥村組」となり、いずれも上位にはスーパーゼネコンが名を連ねています(*いずれも2000年~2012年実績、出典「カンテイアイVol.75」)。
これからの新築マンション市場、とくに都心部の高級マンションや湾岸部のマンションでは、今まで以上に施工会社が注目されるのは間違いないでしょう。技術力のある企業、実績豊富な企業が手がけるか否かで売れ行きが左右されるかもしれません。
【関連サイト】
これから販売される新築マンション特集<大規模・タワーマンション>
「目白プレイス タワー&レジデンス」(豊島区・2007年)売主・設計・施工すべて鹿島建設
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)