2016年01月23日更新
中古マンション在庫状況、地区別築年数
前回記事「中古マンションはいつが売りどきか」に引き続き、今回も中古マンション市場のデータを取り上げましょう。まず、東京都の在庫戸数を価格帯別に見てみます。下図はその前年比較のグラフです。第二次安倍政権発足後、すべての価格帯で二ケタ以上減少していました。つまり、売れ行きが良かったということです。
上昇に転じたのが2015年1-3月期から。このときは5000万超の価格帯が増加しました。同7-9月期にはすべての価格帯で前年を上回っています。ちなみに、上昇率上位3が「7000万円超1億円以下(72.9%増)」「5000万円超7000万円以下(68.0%増)」「1億円以上(45.3%増)」。直近10-12期では「1000万円以下」を除きすべての価格帯で二ケタ増、「7000万円超1億円以下」は97.3%増と、ほぼ倍増していることがわかります。
レインズ「マーケットウォッチ」データをもとにMH3作成 以下同
では、中古マンションは売れなくなったのでしょうか。下のグラフは、同じく価格帯別「成約件数(前年比)」です。在庫が顕著に増えはじめた2015年4-6月期以降で「1000万円以下」を除き、前年を下回ったのは「4000万円超5000万円以下」が4-6月期に一度(2.9%減)だけ。5000万円超では依然として二ケタ増のペースを維持しています。価格帯ごとに異なる売れ行きを示しているわけですが、総じて「売りたい」「買いたい」ともにまだ旺盛といえそうです。
さらに、下のグラフでは地区ごとで「新規登録築年数」を比較しました。直近で見ると最も築浅が城東地区 (台東区、江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区、足立区、荒川区)の「17.82年」。一方、城西地区 (新宿区、渋谷区、杉並区、中野区)がもっとも古く「24.2年」。6年以上も差があることがわかります。これは「湾岸エリアの大規模タワーマンションブーム」が影響しているものと推察します。
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)