2011年08月24日更新
オーダーユニットを使った浴室リフォーム
浴室は、キッチンに次いでリフォーム・リノベーションのニーズが多い空間なのではないでしょうか?夜、自宅に戻って、毎日の仕事や家事から解放されてリラックスする場所、あるいは休日のゆっくり体を休め、リフレッシュする空間ですから、バスルームの広さ、雰囲気、使い勝手、そして素材感をリフォームで改善したいとの要望はほとんどのリフォームで話題に挙がるトピックです。
一般のリフォーム会社に相談した場合、まずユニットバスに交換しましょうという話になります。ユニットバスのカタログを見ていると、それなりの高級感があって良さそうに見えるのですが、イザ選ぼうとして自分の好みの浴室のイメージと比べると、壁パネルのペコペコ感や、それなりの費用なのに浴槽や金物、仕上げ材を選ぶことができず、扉や窓もどうもスッキリしないなど不満がたまります。建築家が設計のお手伝いをするリフォームであれば、既製品のユニットバスとは違う解決方法が選べます。
その一つが、オーダー式のユニットバスの採用です。広さや素材などが少しの選択枝からしか選べない既製ユニットバスに対して、ほぼすべての条件(広さ・仕上げ・浴槽・水栓金具類・扉や窓開口)を自由にチョイスできるのがオーダーユニットバスの特徴です。一般のユニットバスの良さである、安心の防水性、素早い施工を確保しながら、スペースピッタリまで拡張できる広さや天井高さの自由度(斜め天井や天窓も可能)、大理石やタイルの壁・床にホテルライクなガラス扉、ジャグジー付の高級浴槽や木製浴槽、レインシャワーやデザイン性の高い外国製の水栓金物、細かいところではスタイリッシュなタオル掛けグレーチングの排水口などまで選ぶことができるスグレ物です。ホテルライクな浴室をと希望されるお客様が多いのですが、東京の高級ホテルの実績を調べてみると、ほとんど全てがオーダー式のユニットバスで作られていることからも、この人気が裏付けされている気がします。 いいこと尽くめに見えるオーダー式ユニットバスですが、一番の問題はやはり費用でしょう。高級ユニットバスと比較すると、1.5~2倍ほどの費用が掛かってしまいます。ただ、この費用の差も、キッチンで比較すると納得がしやすいのではないでしょうか。
メーカー品のシステムキッチンは、寸法やスタイルこそある程度の規格から選べますが、ガスレンジやフード、シンクや食洗機は、少ない選択肢からしか選べません。それに対し、オーダーキッチンであれば、ドイツ製の高性能レンジや食洗機、天然の木材を使った扉などを自由に選ぶことができますが、その分費用は1.5~2.5倍ほど掛かります。この10年でオーダーキッチンの認知度は明らかに高まっていますし、雑誌に掲載されている素敵な住宅のキッチンは、今やほとんどオーダーキッチンになっています。同じように、オーダー式ユニットバスがまだ世間に知られていないだけで、これからは段々と普及してゆくのではないでしょうか。家の中でも、裸になって水を浴びるという一番デリケートな空間だからこそ、仕上げやデザインに最も気を使いたい場所が浴室なのです。
天井付けのレインシャワーやドイツ・グローエ社の水栓金物も取付け可能
浴室側面は濃い色の大理石、他3面はベージュ色の大理石で
シックに纏めたオーダーユニットバス
ステンレス枠と透明ガラスの間仕切りで、洗面と浴室が一体につながる
スタイリッシュな製品が見つからないシャワーブースもオーダーユニット方式なら可能
- 建築家
各務 謙司 (カガミ ケンジ) 1966年東京都港区生まれ。早稲田大学大学院終了後、ハーバード大学大学院に入学。留学修了後、94年にニューヨークのCicognani Kalla設計事務所勤務。マンハッタンの高級マンションのリノベーション、郊外の別荘等を担当する。帰国後、生まれ育った白金台に設計事務所を開設。古くなった建物にリフォームで手を加え、住まい方にあわせカスタマイズし、生き返らせることを活動の一つの柱としている。
カガミ・デザインリフォームhttp://www.kagami-reform.com/
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