2010年09月01日更新
―未来の種を蒔きましょう。―
今年の夏は格別の猛暑でここ安曇野でも熱射の日々が続き、朝、夕、日陰でクールダウンしながらもクーラー頼りの夏を過ごしました。その熱い真夏に織り人はもこもこの羊毛と格闘、寒い季節を思ってだらだら汗を流しながらひたすら糸を紡ぐのです。無心になれるひと時、それはまるでケルトの風習、水鏡に未来を見る、そんな思いがすることもあります。冬の種は夏蒔かれるのです。蒔かれた種も水をやり育てなければ結実しません。我が家のピクチャーウィンドウからの眺めは、今黄金色の稲田です。安曇野は長野県下有数の田園地帯。雨不足水不足ながらも農家の方の愛情と惜しまぬ努力でおいしい作物が育っています。
毎年夏限定で山麓線沿いにお店開きするファーム江沢さんの出店。ここのトウモロコシは絶品です。生食可能なフレッシュさと糖度の高さはほかには類を見ないので、開店30分以内にはほぼ売り切れ。それぞれの野菜に合った土作り、有機肥料・減農薬、土中菌などで味の奥深さを求めています。東京からのIターンで一町歩の農業。大変なこともいっぱいあったでしょうけれど、いつもほっかむりでにこにこ母さんと,逞しくやさしい父さん、看板娘ももちゃんの家族力で乗り越えてこられたんでしょうね。今年は24000粒のトウモロコシの種を蒔かれたとか。感謝です。
そしてこの夏収穫を迎えたのはAAA(あづみのアクターズアカデミア)第1期生達。AAAとは安曇野市で昨年夏に発足したフィルムコミッション(FC)「安曇野フィルムパートナーズ」に併設する俳優養成塾で、FC事業で誘致した映画やドラマに出演する俳優の養成を目指し、発案者で安曇野在住の映画監督の河崎義祐さんが塾長を務めていられます。(俳優養成塾を併設したFCは全国で初めてとか)その第1期生の卒業公演「AZUMINO―未来へ」が安曇野市穂高交流学習センター「みらい」で8月8日に行われました。昨年の9月にスタートしてから、河崎塾長のもと、演技やダンスなどを学んできた12人が出演。中学生から78歳の方まで堂々と演技され、瑞々しさひたむきさも伝わり、それぞれの特技、個性を輝かせる演出で、約1時間の公演2回を熱演されました。こうして蒔かれた未来への種、確実に育っています。来春スタートのNHKの朝ドラも安曇野が舞台とか、大きなチャンスが巡ってくるかも?
芸能面でも多彩な安曇野。明科地区で行われる薪能も今年で20回を迎えました。安曇野市(旧明科町)出身の観世能楽師で、国の重要無形文化財保持者の故青木祥二郎先生が故郷への恩返しにと始められた薪能はアルプスの夕映えをバックに幽玄な世界を作り出しています。そして見るだけでなく子供も大人も毎月学べる能楽教室もあるそうです。
学びと言えば私もこの夏あることに取り組んで学んできました。手製本で有名な美篶堂さんの製本のワークショップ。会場は徒歩圏内のギャラリーシュタイネさん。愛情と技術で作りだされる手製本の素晴らしさをしっかり教えていただきました。今回こちらのワークショップに参加した目的は9月から10月にかけて大町市で開かれる展のため。
MUKUと銘打って開かれるこの展は、地元松崎手漉き和紙を使って異ジャンルの作家が自由な発想で作品を発表するというもの。安曇野つながりで参加してくださることになったペーパークラフトの第一人者モーネ工房の井上由季子さん、安曇野の人気作家十色屋の菊地さんご夫妻、小谷で真摯に制作を続けていらっしゃる染め織作家田中さんと絵描きのあずみさんに交じって私たち親子も参加。私もそれなりに企み楽しんでいます。
期間は9月11日~10月11日古民家ギャラリー兼レストランわちがいさんです。
ちょうど大町三蔵呑み歩き、信州ディスティネーションキャンペーンと盛りだくさんな秋の安曇野周辺。未来の種を育てにいらっしゃいませんか?
- 宮嶋洋子プロフィール
- 関西出身、産業福祉を専攻後、保険会社勤務。結婚を機に信州白馬山麓に移住。夫とロッヂを経営。夫が鉄工房Eisenを立ち上げると共に安曇野に移転。自らは羊に関わる紡ぎ、織り、編みのクラフトを楽しむ。
鉄工房Eisen:http://www5.plala.or.jp/Eisen/