2010年12月22日更新
【安曇野ノート別冊】北欧レポート クリスマス編
安曇野にやってきた白鳥たちに逆行して、寒くて暗い冬の北欧に行ってきました。目的は長い冬を人々がどう暮らし、楽しんでいるかを確かめに。
長いフライトの後辿りついたコペンハーゲン。
寝ぼけた頭でびっくりしたのが午後4時にしてもう暗い!
そこから車でスウェーデン入り!(何と両国間は海底トンネルと橋でつながっているのです)
未知なる旅の始まりでした。
日程のほとんどを過ごしたのはスェーデン南部の静かな田舎。
見渡す限りの雪野原と森林、安曇野と異なるのは高い山が見えないところでしょうか・・・
針葉樹の森の中を雪をかき分け歩いたり車で走っていると、まるで白馬あたりにいるような気持ちになりますが
ここは北欧、トナカイがサンタさんの乗る橇を引っ張って走っているのに出くわすかも。
クリスマスから数えて4つ前の日曜日(今年の場合は11月28日)から、クリスマスイブまでの約4週間はアドベントと呼ばれ、毎週一つずつキャンドルを灯しクリスマスに向けて徐々に盛り上がって行きます。
実際その前から色々な準備が始まります。
緯度の高い北欧では冬の日照時間は本当に短く、太古には冬至に一度太陽は死んだとし、その2~3日後(クリスマスと重なりますね)に復活するのを祝って原始の神々に動物のいけにえやたくさんの食べ物が捧げたそうです。
その後キリスト教と融合して「ユール」という名の、スウェーデン独特のクリスマスが祝われるようになったのです
そして今ではいけにえの代わりにヤギの形の藁細工や豊穣を表す麦わらが飾られるようになったとか。
そんな麦わらのオーナメントを作ったり、クリスマスキャンドルを作ったり、スウェーデンのクリスマスディナーの主役クリスマスハム(ローストターキーではありません)に添える自家製マスタードを作ったり、クリスマス独特のパン「ルッセカット」を焼いたり、クリスマスプレゼントを手作りしたり・・・・
なんて本格派から、そこここで開かれているクリスマスマーケットに出かけて色々と買いそろえるお手軽派まで・・日本のお正月準備に似たものがあります。
日中でもマイナス10度近い寒気の中、足元の雪に気をつけながら着ぶくれた体で屋外の市を冷やかすのはなかなか購買意欲が湧かないものですが・・・気つけ薬のようなグロッグ(スパイシーなホットワイン)で体を温めながら
デパ地下の食料品店を冷やかすように屋台のニシンやサーモン、ウナギのスモーク、トナカイ、サラミやソーセージなどをつまみ、お互い外国語である英語を媒体に拙い会話を楽しむうちに気分も盛り上がってきます。
寒さで涙滲む街のイルミネーションもほとんど白か電球色の温かみのあるもの、ヨーロッパの伝統の重さを感じました。日本では恋人のイベントのようなクリスマスですがあちらでは家族で家庭で和やかに過ごすもの。
酷寒の外気は暖かな家に入り込むことなく、窓辺のつつましい灯りが人々の温もりを外に伝えています。
そしてスウェーデンのサンタさんはイブの日にやってきて直接子供たちにプレゼントを渡してくれるとか・・・
そのためにお父さんは「新聞を買いに行ってくる」と言って出掛けるとか。(寒いのにどこで着かえるんだろう??)どこの国のお父さんも大変ですね~
そんな心温まるシーズンが平穏に過ぎ、新たな輝かしい日々が多くの人の上に始まりますように。
安曇野を遠く離れて辿りついたスウェーデンで出会ったものづくり人の静かな暮らし、国は変われども、同じ波長上に生きる人々の暮らしがあることを知りました。これから少しずつ引き出していければいいなと思っています。
- 宮嶋洋子プロフィール
- 関西出身、産業福祉を専攻後、保険会社勤務。結婚を機に信州白馬山麓に移住。夫とロッヂを経営。夫が鉄工房Eisenを立ち上げると共に安曇野に移転。自らは羊に関わる紡ぎ、織り、編みのクラフトを楽しむ。
鉄工房Eisen:http://www5.plala.or.jp/Eisen/