2010年08月18日更新
「夏がくれば思い出す。遥かな・・・」
「夏がくれば思い出す。遥かな・・・」6回目の掲載。今月は一応こう見えても宿のおかみらしく少しだけうちの宿のお話をします。
那須高原ハンドカットログハウスの宿「素楽」soraはお陰様で今年の夏で7周年を迎えました。
「宿とかやったらどうなるだろう?」という夫であるオーナーの言葉からすべてが始まったのはかれこれ10年程前。
土地探しから始まり、念願だったログハウスを建築して、宿をやっていく。
全くの異業種からの転身と住み慣れた土地を離れ、田舎に住むことなどなど最初は不安だらけだった。
将来、都心から田舎暮らしを検討中のお客さんからはよく「田舎の生活って都会とは違っていろいろと大変ではないですか?」「田舎は淋しくないですか?」と聞かれる。私も那須に住む前に感じていた不安と同じだ。
でも、私の場合、本来順応性のある性格のためか「住めば都」のことわざ通り、田舎生活にもわりとすぐに慣れ、まあ実家のある埼玉まで車で高速道路を使って2時間程という距離なので、淋しさや都会恋しさも今では殆どない。
また「案ずるより産むが易し」のことわざ通り、仕事の宿業も自分で言うのもなんだが、年を追うごとにだんだん板に付いてきたように思う。
お宿と言えば、自分がでかけた先で泊まるものだったのが、今では自分がお客様をお迎えする立場になった。
8月は一年のうちで最もお客様の多い繁忙月だ。
特に夏休みということで、お子さんを連れたファミリーもたくさんご宿泊いただく。
子供達は「木のおうちに泊まるのが楽しい。」と言ってはしゃぎ、大人達は「ログハウスに泊まってみたかった。やっぱりいいですね。」などと言って下さる。
ログハウスには人を惹きつける魅力がきっとあるのだろう。
夏の「素楽」soraのリビングダイニングではクーラーいらずで(雷雨の時などで窓が開けられない場合はクーラーを使うこともあり)木の香りやログに触った時の少しひやっとするようなしっとりした感触が心地よい。
私などは夏のお風呂上がりに、ほてった顔を丸太にくっつけてクールダウンしたりする。おそらく風呂上がりに家の壁に頬ずりする人ってあまりいないだろう。
また、館内用のスリッパを履かずに滞在されるお客様をよく見かける。無垢のフローリングが素足に心地いいらしい。館内のあちらこちらでよく最初は履いていたと思われるが、履き捨てられたスリッパを見つける。
素足にラフな格好でリビングでゆっくりとくつろぐお客様を見ていると、ここで宿をやっていて本当によかったと思う。
○十年前、私がまだ子供だった頃、たまに夏休みに家族で行く泊まりがけの旅行がとても楽しかった。
行き先の宿泊施設といえば、豪華なホテルや旅館でもおしゃれなペンションでもなく、当時父親の会社の研修所などで、今思い返すと連れて行ってくれた両親には申し訳ないのだが、お世辞にもステキな宿とは言えなかった。
それでも私と弟は子供心に固い2段ベッドにも古めかしいタイル貼りの浴槽のお風呂にもプラスチック皿に盛られた冷めた料理にもうきうきしたものだった。
子供の時の夏の家族旅行は、大人になった今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。
ということは、「素楽」soraにご宿泊されたお子様達も大人になってから、楽しい家族の夏の思い出の一つとして「素楽」soraを思い出すことがあるのだろうか。
「夏がくれば思い出す。遥かな那須。ログハウス♪」とどこかで誰かが思っていてくれたらうれしい。
- 堀田はるみプロフィール
- 東京都出身。日本ハウズィング(株)に10年勤務後、大和ライフネクスト(株)(旧(株)コスモスライフ)に5年勤務。在職中に宅地建物取引主任者、管理業務主任者資格取得。2003年宿の開業とともに栃木県那須町に移住。現在は那須の大自然を楽しみながら夫と犬と暮らす。
ハンドカットログハウスの宿「素楽」sora:http://www.ayado.com/