2013年04月11日更新
ちょいとひとっ風呂 — 湯の町歩き(その1)
那須といえば、高原リゾートや避暑地のイメージは強いのですが、草津や伊香保のように温泉地としてはあまり有名ではない気がします。しかし、那須はリゾート地であるとともに歴史があり湯量が豊富で効能ある実はご自慢の温泉地でもあるのです。
「那須温泉」(「鹿の湯」または「元湯」とも言います)は、今を遡ること約1380年前の奈良時代に発見されたと伝えられ、栃木県では一番早く、日本でも32番目に発見された、関東では熱海や草津と並んで古い歴史のある温泉です。
硫黄を豊富に含んだ乳白色の那須温泉は、皮膚病、婦人病、胃腸病、疲労回復や美容に効果があると言われ、共同浴場の「鹿の湯」には朝からたくさんの人々が集まります。
那須湯本一帯には硫黄の臭いが漂い、この独特の湯の香りと「鹿の湯」の古びた佇まいが湯の町那須湯本の温泉情緒を高めてくれています。
那須周辺には「鹿の湯」以外にも「板室温泉」「三斗小屋温泉」「大丸温泉」「北温泉」「弁天温泉」「高雄温泉」「八幡温泉」があり、「那須八湯」と呼ばれています。
ところで「鹿の湯」ってなんだか面白い名前ですよね。
名の由来は字の通り、矢傷を負った鹿が温泉に浸かって傷を癒していたのを狩野三郎行広さんが発見したことから名付けられたと伝えられています。
1380年前の奈良時代の那須温泉って‥‥かなり山岳地帯を分け入った山奥の秘境であったでしょうから、さぞや野生の鹿もたくさんいたことでしょうね。もしかしたら仙人が住んでいたかもしれませんね。
先日、私も「鹿の湯」に浸かってまいりましたが、鄙びた風情の温泉に浸かっていると太古の昔に傷ついた悲しい鹿の気持ちが分かったような気がしました(笑)
長野でしたかしら。猿が露天風呂に入る温泉が今でもありますね。
動物たちにとっても人間と同じで心身を癒してくれる温泉は、やはり心地よいのでしょうか。
今月の下旬あたりには那須でもようやく桜が見頃となることでしょう。
お花見と温泉‥
つくづく日本人でよかったと思う春の日の到来です。
- 堀田はるみプロフィール
- 東京都出身。日本ハウズィング(株)に10年勤務後、大和ライフネクスト(株)(旧(株)コスモスライフ)に5年勤務。在職中に宅地建物取引主任者、管理業務主任者資格取得。2003年宿の開業とともに栃木県那須町に移住。現在は那須の大自然を楽しみながら夫と犬と暮らす。
ハンドカットログハウスの宿「素楽」sora:http://www.ayado.com/