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パリで暮らす、食べる、遊ぶ

トリュフォーへ行く前のテラス

私が出かけるトリュフォーはこんな感じ

いろいろな春の花がならんでいます

色とりどりのサボテン

トリュフォーから帰ってきた後のテラス

2010年06月23日更新

テラスでガーデング

 こんにちは。カオリです。5月、6月とは思えないくらい寒い日も多かったパリですが、やっとあたたかくなってきました。ということで、今日は我が家のテラスの話でも。

 私のアパートには、とても小さいながらテラスがついています。このアパートへ引っ越してきた当時、このテラスがうれしくて植木鉢を買い、いろいろな季節の花を植えていました。しかし、花を育てるというのは思っているよりも難しいもの。毎日、お水をやってはいるものの、思ったように花をつけてくれず、こんなに尽くしているのにどうして報われないの…と思うこともしばしば。まあ、言うほどに尽くしていないのが悪いんだろうけれど。それに加えて言い訳をさせてもらえば、出張なんかで1~2週間、家をあけることもあるのが致命的で、花を枯らしてしまうことも度々です。さらに、雑草が生えようがほったらかしなので、私のテラスはここのところ、とてもひどい状態でした。

 しかし、5月に夫の母がパリに遊びにくることになり、いくらなんでもこんなテラスをお目にかけるわけにはいかぬと、嫁としての理性が働き、植木鉢の枯れた花や雑草を引きぬき新しい花を入れるために、ガーデニング専門店トリュフォーに出かけることにしました。

 このお店、フランスのいろいろな都市に全部で50店舗ほどあり、パリ近郊にも数店舗あります。パリ13区ベルシーにあるお店は、お店のすぐ側に車の駐車スペースを見つけるのが大変で、結局少し離れたパーキングに車を入れるも、そのあと買った花をたくさんかかえてパーキングまで歩く羽目になるので、ここは問題外。ということで、気に入って何度か通っているのが、パリ北部のサンドニにある競技場、スタッド・ド・フランスの前にあるお店。このお店は、駐車場がついているので、花を買った後カートに乗せたまま車まで運べるのです。

 さて、店内はいろいろな季節の花や観葉植物、サボテンなどが、所せましとならべられ、週末に出かけると、多くの人にあふれ驚くほどの熱気です。私もあっちへふらふら、こっちへふらふらとさまよい歩き、一度手に取りカートに乗せた花を、また戻してみたり、また取り戻してみたりと、散々迷った挙句、我が家のテラスの植木鉢を飾る花を選びました。バラなんて買っちゃったけど、本当に世話ができるのか、いやいや、最悪、まあ、義母がいる間だけでも花が咲いていればいいかとか、ミントを買ったら、これで毎日ミントティーが楽しめるじゃないのとか考えながら…

 さっそく、家に持ち帰り、テラスで植木鉢をひっくり返し、土をひろげとにわかガーデニングをはじめたわけですが、私の家のテラスは写真でもお分かりになるように、目の前に立っているアパートの住人から丸見えなのです。一度、アツコちゃんが遊びに来てくれて、このテラスでお茶を飲んだんだけど、いろんな人から見られてる感じでなかなか落ちつかなかったのを覚えてます。(実際、このときはお向かいさんが私たちに手をふっていたし)。

 この、みんなにもしかしたら見られているかもしれない中、ジャージ姿でしかも中腰、そしてスコップを握るのはなかなか悲しいものがあります。しかし、これも義母のため、いや、夫の面子のため、さらに私の見栄のためと、がんばって花を次々と植木鉢に移しかえたのでした。ついでに、去年、見事に花を咲かせた朝顔から採取した種も植木鉢にまいて完成。

 さて、我がアパートに夫、義姉とともに到着した義母。玄関を入るなり右手に広がるテラスに興味をそそられた様子。そして、窓からテラスを覗いてみるとそこには、なんとも美しい花々が咲き乱れる植木鉢が。朝顔も小さな芽をだし、いかにも「春」な感じです。もちろん、義母は花々に大喜び。

 後で、夫が「お母さんが、カオリさんもガーデニングが好きなのね。きちんとお花を世話していてすごいわって言ってたよ。」と私に報告。しかし、いつもの私のテラスの有様をしっている夫は、「まあ、僕は、実はいつもは…って言いたいのをぐっとこらえていたけどね」と付け加えることも忘れませんでしたが。ありがとう、夫よ。事実を暴露しないでくれて。ここで事実を暴露されたら、私の中腰スコップが無駄になるところです。

 さて、義母、義姉、夫も無事、アメリカへと帰国し、現在の植木鉢の状況といえば…バラは私の心配をよそに、もしかしたら今年しか花を開けないのかもと既に察しているのかと思うぐらいの満開ぶりです。しかし、ミントといえば、ミントティーを毎日用意して優雅に飲むような余裕は私に全くなく、伸び放題になったあげくに、自分の重みを持ちこたえられずに地面に頭をはわせ、見るも無残な姿に。朝顔の芽は種をまきすぎたのか、あまりに芽が出すぎて植木鉢の中で混乱状態に。私のテラスの花々は、また義母がパリにやってきてくれることを心待ちにしていることでしょう。それまでに枯れなけりゃいいけどね。

パリ在住 カオリ・有緒(アリオ) 

カオリ・有緒(アリオ) プロフィール
*カオリ
早いものでパリでの生活、11年目に突入。毎日、セーヌ川左岸にある職場と家の往復のみで、いまだにマレ地区に足を踏み入れたことさえないくらいのパリ音痴。アメリカに暮らす夫と遠距離結婚中。

*有緒(アリオ)
ほんの1、2年ほどのつもりが、気づいたら6年目近くにも及ぶパリ生活。日本では考えられないようなトラブルに日々見舞われながらも、のほほんとした毎日。住んでいたのはサンジェルマンデプレといえば聞こえがいいだけの、築二百年近い古びたアパルトマン。趣味は、友人に料理を作ることと、アンティーク家具や骨董品などのガラクタを買うこと。 最近、東京に拠点を移しましたが、まだパリと行ったり来たりが続きます。最近初の著作となる「パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)」を出版しました。

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