2012年04月25日更新
コートジボワールの食卓
今夜はコートジボワールの首都アビジャンからトロントに移住して来た友人・ニコルに「アフリカンバーベキューを食べに来ない?」と家に招待された。ニコルはご主人と2人の息子の4人家族で、トロント北部の郊外ノースヨークに住んでいる。ノースヨークは第二時世界大戦後に開発されたエリアで、北米最大の交通量のハイウェイ401号線とコンドミニアムやオフィスビルの高層建築が象徴的なニュータウンだ。ニコルの家も地下鉄の駅からすぐの真新しいコンドミニアムだった。
さて、本日のメインメニューはこちら。
‐ティラピア(白身魚)のバーベキュー
‐アチェケ(粒状キャッサバ)
‐アロコ(バナナフライ)
香ばしく焼けた肉厚なティラピアを切り分けて、小さなツブツブ状のアチェケを添えて赤いソースをかける…一見魚のクスクスにも見えるけれど、このソースは唐辛子がきいていてとても辛く、全然別ものだった。辛いという以外は何にでも合いそうなトマトと玉ねぎベースの万能ソースで、シンプルなアフリカンバーベキューとの相性はとてもいい。ティラピアはアフリカでは一番ポピュラーな魚で、チキンと並んでよく食べられるのだとか。
そしてアロコ。
この黄金色の揚げバナナはコートジボワールだけでなく西アフリカ&中央アフリカで広く愛されている、アフリカを代表するスナックだ。アロコに使われるバナナはプランテーン・バナナという、主に調理に使われる大型種。味や食感はフライドポテトに近く、バナナらしい濃厚な香りはしない。けれどほんのりとした甘酸っぱさが後を引いて、揚げたては本当に止まらなくなるおいしさなのだ。
コートジボワールには「アロコドローム」と呼ばれるアロコ売りのスタンドが立つ青空レストランがあちこちにあり、いつも地元の人達で賑わっているそう。アロコドロームではアロコやその他の食事が食べられるだけでなく、流れる音楽に合わせて老若男女がダンスを踊ったり、手品やファッションショーが行われるコミュニティーの場でもある。カナダ移民になったコートジボワール系の人達にとっては心の故郷のような存在で、ニコルの友人達も月1回トロント版アロコドロームを開催してはりきっている。
ところでトロントでアフリカの食材を探すのはどうしているんだろう?
ニコルに聞いてみると、「材料を見つけるのはなかなか大変。郊外にあるアフリカ食材専門店で買ってるの」だそう。ただしプランテーン・バナナはダウンタウンの中華系マーケットや大型スーパーにも売っているので、アロコ作りに不自由することはなさそうだ。
最後はマルーラという果実のリキュール「アマルーラ」で乾杯。クリーミーで濃厚なこのお酒、おつまみに欲しくなるのは…やっぱりアロコ。
- Kyuena キュエナプロフィール
- フランス→日本→カナダと移動生活中。
人種のモザイク都市・トロントでの楽しみは、
ベジタリアンインド料理とアールデコ建築探し。
仏語&医療翻訳と物書き業稼働してます。
現在、トロントの日系情報紙『bits』で連載中。