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住宅ライターの家づくり奮闘記

4月28日に見せてもらった模型です。駐車スペースから階段を上がって土間のポーチがあり、直接広間へ出入りすることも可能。屋根の上には小さなルーフバルコニーもありました。

近隣への挨拶回りのときに作成した挨拶状です。「まあ、子供を出しておけば好印象を醸し出せるかな」、というオトナの計算もありました(笑)。

2008年12月03日更新

10か条の要望と挨拶回り

 ようやく土地問題が片づき、ひと安心。3月31日には増井さんと正式に設計依頼の契約を交わし、4月に2回、5月に1回と、設計の打ち合わせを重ねていきました。  増井さんの事務所にうかがったほうが資料等もそろっていていいのですが、私たちの場合、幼稚園児と1月に生まれたばかりの乳児がいたので、現在住んでいるマンションまで出向いてもらいました。増井さんには負担になったかもしれませんが、これはありがたかったです。自宅ということで妻がリラックスできましたし、現在の私たちの暮らし方を見てもらうことで要望の意図が増井さんに伝えやすくなったような気がします。  私なりに考えた家づくりのテーマは「本質的な家を現実的につくること」。私たちの予算は決して多くありません。欲しいモノを積み上げていくような家づくりは不可能です。私たちの暮らしにとって本当に必要なもの、本当に欲しいものだけをシビアに見極めて引き算していき、最後に残った要素だけで住まいを構成できないだろうか…。  そして、要望は10か条にまとめてみました。こんな感じです。 ・仕事場と生活の場を隔絶したい ・日当たりを楽しみたい ・家族が集まりながらも各自過ごせる居間 ・体調がすぐれないときに休ませてくれる寝室 ・調理・食事を大切にしたい。食卓中心の間取り ・ゆっくり本を読みたい ・気が向いたときにピアノを弾きたい ・新品の家よりアンティークが似合う家に住みたい ・家族共有の本棚が欲しい ・必要になったら机と収納と寝場所を用意できる最小限の子供室  設計者のアイディアを期待したかったので、家そのもののデザインやスタイルについての具体的な記述はなるべく避け、「どう過ごしたいか」を伝えようと心がけました。  そして出てきたのが前回掲載した”蔵”のイメージのプランです。そこから駐車スペースを確保するため、大幅にアレンジが加えられていきました。でも1階は仕事部屋+広間+キッチン、2階は子供部屋+寝室、という大枠は確定することに。  6月5日には、来週に迫った古家の解体を前にご近所へ挨拶回りに出かけました。増井さんと工事担当者の池上さんと一緒に粗品を持って「ご迷惑をかけますがよろしくお願いします」と頭を下げて回るわけです。私にとっては近隣のみなさんと初めてご挨拶することになります。粗品には実用的であまり好き嫌いのないものがいいだろうと考え、ハンドタオルにしました。また、子供たちの顔写真を入れ込んだ挨拶状も作成しました。簡単なものですが、やはりどんな人がやってくるのか、顔を見せておいたほうがいいと思ったのです。  朝10時から始めて1~2時間ほどかかったでしょうか。年配の人が多いこともあり、在宅率が高かったので8割方、直接お顔を見て挨拶できたのは収穫でした。お互いに「どんな人か」ということがわかっていれば、無用な摩擦は避けることができるでしょう。  何度となく訪れた築30年のこの家ともついにお別れです。売り主のご夫婦が手塩にかけて育ててきた庭木も撤去しなければなりません。「解体工事は必ず見に来よう」。それが、この地を引き継いだ者の役目であるような気がしていました。 ということで次回は解体、地鎮祭です。

住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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