2009年03月11日更新

怒濤の引っ越しと新生活のスタート！

　わが家の撮影も無事に終了し、2月14日に引っ越しを行いました。この日に備えて私は一通りの仕事を片付け、3日前から荷造りや準備に専念。ひたすらゴミを捨て、段ボールに荷物を詰めてガムテープで留めていきます。 　この頃になると私も妻も睡眠不足とストレスでボロボロの状態。「とにかく早く無事に引っ越しが終わってくれ…」。そんな思いで過ごす毎日だったので、10年近く住んだこの地を離れる感傷も、新居に引っ越す喜びも、まったく感じることはありませんでした。今にして思えばなんだかもったいないような…。 　当日は幸いにも晴れ。9時には引っ越し業者が来て、段ボールを次々に積み込んでいきます。そして2時間後、すっかりがらんどうになった2LDKのマンション。ここに来た当時のことを思い出しながら、数枚、写真を撮ってみました。 　妻に掃除を任せ、私と息子は新居へ向かいます。土間に面した木製サッシを開けて、準備万端。間もなく業者のトラックが到着し、1階のキッチンへ、1階の子供室へ、階段下へ、書斎へ、とどんどん段ボールが積み上げられていきます。 　実母、義母、私の妹にも応援を頼み、荷物の開封。引っ越し業者が帰ったあとには、ケーブルテレビの設置とエアコンの移設の業者が立て続けにやってきて、暖房とテレビとインターネットは確保。夕方、日が暮れる頃、今日の作業は終了としました。とりあえず昼の残りの弁当で空腹を満たし、2階の寝室に布団を敷いたらもう何もできません。 　この日のクライマックスは、新しいシステムバスでの初めてのお風呂。マンションの浴室よりひと回り大きい1.6×1.6の1坪タイプの浴室で、お湯に浸かり、ぐっと足を伸ばします。「どは～」と息を吐き出し、目をつぶって今日の出来事を振り返ろうとしますが、何も思い出せません。今までひたすら「次のこと、明日のこと」ばかりを考えてきましたが、脳はそろそろギブアップしたがっているようでした。 　まだベッドがないので8畳の寝室で布団を3組とベビー布団を並べ、一同、毛布に潜り込みます。今まで無人だった木造住宅は構造の芯まで冷え切っていて、エアコンを入れてもまったく暖まりません。それでも1日の疲れで、ずぶずぶと眠りにつくのでした。 　翌朝、私は5時に起きて築地の仕事場へ。この日は仕事場の荷物を新居の書斎へ運び込みます。2時間ほど息つく間もなくフルパワーで荷造りしていると、朝9時に昨日の引っ越し業者がやってきました。 　2時間ほどで作業を終えると、私はその足で新宿駅へ向かい、11時半の特急に飛び乗って山梨へ。どうしてもこの日にこなさなくてはならない住宅取材が入っていたのでした。道中は仕事に備えて爆睡。 　仕事を終えて新居に戻ってきたのは午後6時頃。この日も妻はひたすら荷を開け、整理していたようです。この日は初めてご飯を炊き、杉の大テーブルに座っての食事。あらためて家の中を見回してみると、照明の光を受けて、漆喰の壁や天井の垂木が昼間とは違った輪郭を浮かび上がらせます。「この眺めはきっと何年経っても変わらないんだろうな」とふと思いました。 　しかしそれにしても…。この期に及んでも、まだ「自分の家」という実感が湧いてきません。これだけさんざん力の限り尽くしてきたのに…。なんか悔しい。 　私の勝手な思いをよそに、新居での日々が始まりました。子供の幼稚園を決めないといけないし、引っ越し当日に回りきれなかったご近所さんにも挨拶に行かなくては。何より仕事も山積みです。 　形としての「家」は完成しましたが、私たちの生活はこれから組み立てていかなくてはなりません。収納をどうするか、ポストもベッドもないし、テーブルもこのまま裸で使っていたら子供たちの食べこぼしであっと言う間にシミだらけになってしまいます。 　次回以降は新しい家との付き合い方や、自分たちの家づくりを振り返ってみて気付いたこと、などについて書いていきます。今後ともよろしくお願いします。