2009年04月08日更新
新しい家にひと月住んでみて
新居に越して、ひと月が経過しました。最初の2週間はとにかく居場所をつくるので精一杯。ベッドをまだ買っていない寝室に家族4人分の布団をどのように並べて敷いたらいいか、ということだけでも毎夜のように試行錯誤を繰り返していました。最終的に、いちばん奥のベランダ側に息子、真ん中に妻と娘、夜の遅い私は入り口側という順に落ち着いています。 キッチンでは、食器と調理用具と食材、カトラリー類の収納の仕方に頭を悩ませました。システムキッチンの引き出しやキャビネットは、まあだいたいの収納物が想定された寸法になっているので、それにとりあえず従っておくとして、奥の食品庫に私が設置した棚にどんなものをどのようにしまうのか。あんまりガチガチに詰め込んでしまうと、使ってみてからの置き換えが大変になってしまいます。しかし、ある程度しまっていかないと、使い勝手のジャッジすらできません。この辺は、妻の母に来てもらい、長年の経験をもとにした独断で配置してもらいました。あとはだんだんと入れ替えていくことになるでしょう。 もっとも参ったのは、寒さです。2月中旬という1年のなかでもいちばん寒い時期に引っ越したせいもあるのですが、とにかく冷え込みが厳しかった…。 前に住んでいたマンションと違い、1階の広間の天井は高いし、階段を通じて暖気がどんどん2階に抜けていきます。エアコンをフル稼働させてもとても追いつきません。カーテンもまだ付けていなかったので、窓ガラスから熱が逃げていきます。寝室では毎朝ガチガチに歯をふるわせて目覚めることがしばしばありました。たぶん、まだ人が住んでいない間に構造躯体へ冷気が浸透してしまったのもあるのでしょう。来年の冬はもう少しマシになるはず…だといいな。 パインの無垢材の床や杉の大黒柱、檜の階段といった木部については、日を追うごとに肌触りがよくなってきました。最初は粉状の木屑があったのですが、妻が必死に掃除機をかけて除去した結果、しっとりとした木の質感を楽しめるようになったのです。 トイレを1階と2階のそれぞれに用意したのも正解でした。たった26坪の床面積の中に2つも必要か、というのは何度も検討したものです。コストにも収納部の量にも影響しますからね。しかし、思い立ったときにすぐに使えるというのは、なんとストレスフリーになることか! 寝室から階段を下りずにトイレに行けるというのもありがたい。寝ぼけていたり、風邪で寝込んでいたりすることもありますし。また、これからは子供たちも単独で使用するようになりますから、生活動線に選択肢を持たせるという面でも「ダブルトイレ」は有効であるように思います。 後回しになっていた書斎も、3月に入ってようやく手を付けることができました。新しくデスクを購入し、スチールの書棚に資料を詰め込み、本格的に仕事をできる態勢に。窓には木製のブラインドを取り付けました。デスクもブラインドも南船橋にあるイケアで見つけたものです。ブラインドは窓枠ぴったりの寸法のものがあったのですが、実際には取り付け金具の分のスペースが数ミリ必要なため、少々不格好な仕上がりになってしまいました…。まあ、人に見せる部分ではなし、日差しと視線を遮ることができればいいか…。 ひと月かけてようやく「日常生活」のカタチが見えてきたような感じです。たぶんマンションに引っ越したのであれば、もっとスムーズに移行できたのかもしれませんが、なにしろイチから暮らしを整えています。確かに手間とエネルギーはそれなりに消費しますが、自分たちのライフスタイルというものがなんとなくつかめていくのかな、という手応えはなかなかにいいものです。- 渡辺圭彦プロフィール
- 1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。