2009年12月09日更新
今にして思う、プランに採用してよかったこと
新居に住み始めて10か月。そろそろ「新居」とは言えなくなってきました。春夏秋冬を一通り経験したということで、今回は我が家の間取りプランの善し悪しについて考えてみたいと思います。 私たちが家づくりを依頼した、ますいいリビングカンパニーの増井真也さんにプランを提案してもらってから実際に着工するまでは、およそ8か月ほどかかりました。叩き台となるファーストプランを見せてもらい、増井さんとあれこれと話し合って見積もり金額を出してもらうのに約4か月。そこから予算オーバー分の減額調整を行い、構造計算を経て確認申請に出せる状態にまでするのに1か月くらい。古家の解体と地盤調査、その結果に伴うさらなる見積もり調整等で3か月といった感じです。 増井さんには土地探しの段階から相談を持ちかけており、今の土地を購入する前にも実際に敷地を見てもらっていました。2008年12月03日に更新した「10か条の要望と挨拶回り」でも触れましたが、10項目にわたる要望も伝え、構想を練ってもらっていたのです。 いよいよ土地購入の契約が本決まりとなった時点で増井さんから見せてもらったのが、手描きのスケッチでした(上の図参照)。その力強い筆致で描かれた”蔵”のイメージは、今見てもドキドキするくらい魅力的なものでした。 刺激を受けた私たちは、その家での新生活を想起しながら、求める要素を思いつくままに列挙していきます。「仕事場」、「自転車置き場」、「外物置」、「2階にトイレ」、「ルーフバルコニー」…。 さまざまな夢を詰め込んだプランはやがて予算の壁に突き当たります。本当に必要なものは何か。とことん夫婦、増井さんともども話し合い、優先順位が少しでも劣るモノはどんどん切り捨てていきました。「床暖房」、「薪ストーブ」、「格子戸」…。それはとても辛い作業でしたが、逆にこれを経たためにこの家への思い入れが増したように思います。 さて、「結果的に取り入れてよかったもの」を挙げてみましょう。まずは「土間」。6畳ほどのスペースですが、足元はモルタルになっているので、DIYの作業場になったり、夏には子どもたちのビニールプールを出したり。軒も深くかけられているので、多少の雨では掃き出し窓の前に置いた履き物が濡れることもありません。そして、この外に開いた場があるために、ご近所のかたも気軽に声をかけてきてくれます。非常に便利な得難い空間です。 「杉の大テーブル」もポイント高いです。260cmの長さがあり、食事の場としてだけでなく調理台であり、子どもたちのお絵かきや妻の書き物にもちょうどいい広さがあります。 「ワンルームの子ども室」も正解でした。彼らが兄と妹それぞれに仕切って寝起きするまでにはまだまだ相当な年月が必要であるように思われます。 「1階と2階それぞれにトイレ」もよかったと思います。2階に寝室があるので就寝前後に用を足すのも容易ですし、何よりも思い立ったときにどちらのトイレに行くか、選択肢を持てるのはかなりストレスが軽減されます。減額案の検討時にはリストラの候補でありましたが、残してよかったです。 「2階のロフト」は、予算調整で削ったルーフバルコニーの名残です。90cm四方しかありませんが、空が見えて足元のスノコ越しに1階がのぞけます。子どもたちの気分転換の場所としてもうってつけです。 そして何よりも「大黒柱」。初めは部屋の真ん中に柱があるなんて邪魔なのでは、とも心配しましたが、その存在感はまさに我が家の中心。天井の化粧垂木と登り梁とともに屋根をしっかりと支え、暮らしの場を頼もしく守ってくれています。 逆に「失敗したこと」というと…うーん。枯れてしまった植栽の桜かな…。これはこの冬になんとかします…。- 渡辺圭彦プロフィール
- 1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。