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住宅ライターの家づくり奮闘記

風呂上がりにコタツに入ってアンパ○マンを鑑賞なさるお子さまたち。実に優雅にくつろいでいらっしゃる。親は仕事部屋からそんな様子を撮影するのが関の山。

我が家の新戦力、オイルヒーターくん。とりあえず居間にポジションを与えました。今年は大いに熱くなってもらいましょう。

2010年02月10日更新

底冷えする夜にはこれが効く!

 「1年のうちでもっとも寒い月は?」と問われたら、私は間髪入れず「2月!」と答えます。いやあ、昨年、我が家が竣工してからのひと月は本当に寒かった!  昨年の今頃のこのコラムでも寒さについてさんざん愚痴をこぼしたものです。そしてこうも付け加えていました。「来年の冬はもう少しマシになるはず…だといいな」と。  さて、そんな今年の2月はどんなことになっているかというと…。寒いのは確かですが、さすがに昨年ほどではありませんでした。ひとつにはやはり4人の家族がここまで継続的に暮らしを続けてきて、躯体にそれなりの熱量が蓄積されてきたことが挙げられるでしょう。  そして、今年の冬をなんとかやり過ごせている大きな要因は、新たな暖房器具の導入であります。まず居間に据えたのはコタツ。これについてはけっこう逡巡がありました。せっかく広々とした空間なのに、こんなどしんとしたモノを置いてしまっていいのか。設計した増井さんもコタツの存在は想定していなかったはず…。そもそも自分だって住宅誌の取材で人さまのおうちを撮影させていただくときには、そこにあるコタツを片付けてしまっているのに…。  などとまあ、四の五の言ってはみたものの、あのじんわりした温もりの記憶には逆らえませんでした。以前のマンションでもダイニングセットなどは置かず、夏も布団をはがして卓袱台的にコタツを使っていましたし。実際に出してみると、これがまあ私たちのライフスタイルにしっくりと馴染んでしまいました。  食事のときは杉の大テーブルにつきますが、それ以外の団らん時にはコタツへすっぽりと。子どもたちも首だけ出して潜り込みます。居間における象徴としての中心が大黒柱であるなら、家族が集う「広場」の中心がコタツとなっているかのようです。  そんな生活の場を暖めてくれるもうひとつの存在は、年末に入手したオイルヒーターです。我が家の1階は屋根なりの勾配天井で2階まで吹き抜けているので、エアコンがいくら温風を吐き出したところですべて2階へ運ばれていってしまいます。  しかし、オイルヒーターは本体そのものが輻射熱を発するので、空間全体がまんべんなく暖房されるのです。例えるなら、「立体的な床暖房」というか。立ち上がりには時間がかかるけど、じんわりと体の芯から暖かくなる感覚はなかなかいいものです。  あと、無垢材の床に差し込む日差しの温もりも、寒い時期だからこそ強く実感されます。日当たりのいい2階の寝室などは、日中、サンルームのようにぽかぽかした状態に。ここで昼寝できる下の子がウラヤマシイ限りです。  日だまりのできた居間に座っていると、ここに以前建っていた古家の座敷がふと思い出されます。あの日の当たる感じが気に入って購入の決め手になったんだよなあ。増井さんの設計によって敷地のポテンシャルが見事に引き出されたわけですが、この土地における以前の記憶や歴史についても、うまく引き継げているのかもしれない。この家はこの土地に「あるべき形」として存在できているのかもしれない。そんな風にも感じられるのです。  さて、次回はいよいよ新生・桜の木をお披露目することができそうですよ~。

住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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