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住宅ライターの家づくり奮闘記

吹き抜けはそのときどきでギャラリー的な使い方ができます。上部のロフトのルーバーから、写真のように飾りを吊すことができるのです。ただいまハロウィン仕様になっています。

土間に置いたオジギソウの鉢で花が咲きました。チアリーダーのポンポンみたいでかわいいですね。冬には枯れてしまうそうなので、このあとにできるタネをとっておかないと。開口部が大きいと、こうした土間の風景も目に入りやすく、季節を身近に感じることができます。

2011年10月13日更新

開く家、閉じる家。人それぞれに

 最近はすっかり秋めいてきましたね。暑さにへきえきしていたことがまるで遠い日のことのように思えるほど、涼しくて朝晩も過ごしやすくなりました。

 わが家の吹き抜けにはハロウィンの飾りをぶら下げています。風が抜けていくたびに、ゆらり、ゆらりとゆっくり揺れて、空気の流れを感じさせてくれるアイテムになっています。

 風通しや日当たりを重視して設計されたわが家では、居ながらにして光や風を味わうことができ、のびやかな開放感を得ることができます。また、大きな掃き出し窓からは土間を通じて、前面の私道とも連続し、視界や生活の場が外へ広がっていきます。外とのつながりをメリットとして享受できる住まいだと言えるでしょう。

 以前住んでいた高層マンションでは、エレベーターを待つ時間も含めると、地上に降りるまで5~6分は必要でした。そのときと比べると、子どもたちは気軽にぽんぽんと外へ飛び出していきます。家族において暮らしにおける行動の選択肢が格段に広がったように思います。

 そんな生活をしている一方、町中には対極的な「閉じる家」が多いことにも気がつきます。敷地の内部で生活が完結するような住まいです。開口部はあっても常に厚いカーテンが閉め切られ、夜にはシャッターが降りて、まるでシェルターか要塞のような印象すら漂わせます。

 もちろん外界をシャットアウトすることで安息の場所を確保するという考え方もアリだと思いますし、オープンにしづらい立地・環境があるのもわかります。ただ、「自分の求める家の姿ではないな」と感じてしまうのが正直なところで。

 開口部にしても、「確かに南側だけど、これじゃ向かいの家しか見えない」、「窓を開けたら通行人と目が合うなあ」とか、意味や価値がよくわからない窓が多いような。

 こもる家にするのなら、道路に面した開口部は最小限にして、その代わりに中庭や屋上テラスなどを用意するとかして、もっとインドアを充実させるような設計にすればいいのに、などと余計なことをつい考えてしまいます。せっかく大金を支払うわけですから、もっと自分のライフスタイルや立地条件・環境に合わせたプランにしないとモッタイナイ。

 もちろんわが家のような「開く家」にもデメリットはあります。まず居留守が使えません(笑)。障子を閉め切っていても、人の気配はなんとなく伝わってしまいます。また、土間に上がると、1階は丸見えです。取り込んで畳む前の洗濯物や読みかけの本、子どもたちが出しっぱなしの文房具など、日常生活の様子が一目でばれちゃう(笑)。

 でも、最近はそんなのにもちょっと慣れてきています。できる範囲で片付けていればまあいいか、なんて。気持ちまでオープンになってきているのかもしれません。

住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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