2013年03月20日更新
今年も無事に桜が開花。植栽で実感する季節の変化
寒い寒いと言っていたら、春の嵐の到来とともにあっという間に気温が上がってきましたね。おかげさまで3月中旬にはわが家のオカメザクラが咲き始めました。
ソメイヨシノよりも色が濃く、おかめのほっぺの紅のような、どこか愛嬌のある花です。この花が咲くと冬の終わりを感じます。
昨年は梅雨ごろに時季外れの台風が来て、桜に潮風混じりの強風を吹き付けたおかげで、すっかり葉を枯らしてしまい、「大丈夫かな」と心配していたのですが、無事に開花してくれてひと安心です。
新築時に植えた初代の桜は土壌に湿気が多かったために、1年ほどで根が腐ってしまいました。その後、植栽する部分だけ掘り返して、地中から湿気を抜く換気口を付けてもらい、あらためて比較的丈夫なオカメザクラを植えたという経緯がありました。
夏の暑い時期にはちょろちょろとホースで時間をかけて水やりをしたり、毛虫がついたときには殺虫剤を散布したり、素人なりにそれなりに手をかけてきました。
それだけに家族にとって強い思い入れのある木となったわけです。外観においても、室内からの眺めにも、わが家の風景にはいつも桜が目に入ります。オカメザクラはわが家の一部であり、生活の記憶の重要な背景にもなっています。
四季ごとに違った姿を見せるシンボルツリーが家に寄り添っていると、それだけで絵になりますし、暮らしのシーンに鮮やかなアクセントをつけてくれます。
ここ数年、住宅を取材していると、そうした役割を持つ植栽をよく見かけるようになりました。以前は、松やコウヤマキ、コニファーのような常緑樹が中心だったように思いますが、近年の傾向としてはモミジ、シャラ、ハナミズキといった花や紅葉を楽しめる樹種が多いように思います。
木を植えると、花や葉の掃除や病虫害の対策など、それなりに手間はかかりますが、それもまた付き合いのうち。新築やリフォームの際には、シンボルツリーを植えること、お勧めします。
- 渡辺圭彦プロフィール
- 1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。