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住宅ライターの家づくり奮闘記

旅行先の「別荘」の様子。クラシックなI型キッチンとダイニングテーブルのレイアウトですが、キッチンと食卓との距離感、テーブルの大きさ、食器棚や冷蔵庫の配置などが絶妙に私たちの食事のスタイルに合致するのです。

わが家では、キッチンとテーブルの位置を近づけて、より使い勝手よくしました。キッチン側にはキャスター付きのイスを置いているので、腰掛けたまま方向を変えてキッチンに手を伸ばすのも容易になっています。

2015年04月20日更新

暮らしの形、キッチンのスタイル

4月の始めに家族旅行に行きました。その地には9年ぶりに足を運んだのですが、宿は前回と同じところを選びました。

そこは平屋の建物を1軒まるごと貸してくれて、お風呂やキッチン、洗濯機はもちろん、タオル、食器、調理器具、調味料、お茶、コーヒーなど、日常生活で使うものはすべてそろえられていて、自由に使っていいのです。「別荘」の感覚で誰に何を断る必要もなく、気兼ねなく数日を過ごすことができました。

この建物におけるキッチンとダイニングの配置が、私たちにとって非常に使い勝手がよかったため、家づくりのときの基本イメージになりました。

最近は、対面式のキッチンが流行しています。食卓のほうを向いてキッチンに立って作業できるのがメリットに揚げられますが、わが家の場合は調理や食器洗いの間に会話することはありませんし、動線的にはキッチンと食卓の間が離れてしまうというデメリットがあります。

私たちの「別荘」やわが家の場合、壁に向かって設置された、いわゆるI型のキッチンレイアウトが採用されています。最大の特徴はキッチンと食卓の距離を最短にできること。体の向きを変えるだけでお皿の受け渡しができ、配膳も後片付けもさっさと済ませることができます。鍋からよそった汁物などもそのまま食卓に置けます。

9年前にその地を訪れたときは、マンションに住んでいて、対面式キッチンだったので、「別荘」におけるI型キッチンがなんとラクチンに感じられたことか。

わが家ではさらにテーブルを据え付けの形でキッチンに近づけました。これだと、キッチン側に座っている者は、後ろに手を伸ばせばイスに座ったままでキッチン上の醤油差しなどをとることができるのです(ものぐさでスミマセン)。距離が近ければ食卓に背を向けていても会話に参加することは容易です。

ただ、食卓からキッチンが丸見えなので、天板上はそこそこ片付けておく必要があります。わが家の場合はキッチン横にパントリーのスペースを3畳ほど確保してもらったので、なんとかなっていますが…。

キッチンは毎日使いますし、ダイニングは家族が集まる場にもなるので、自分たちの食事のスタイルに合わせて、なるべくストレスの少ない状態にしつらえておきたいものです。



住宅ライター 渡辺圭彦

渡辺圭彦プロフィール
1970年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、扶桑社「新しい住まいの設計」編集部に勤務。その後、(株)ハウジングエージェンシーを経て、編集・制作会社へ。2004年よりフリーに。著書に「家づくりのホント~欠陥住宅にハマらない心得」(週刊住宅新聞社)など。2009年2月に自邸が竣工。
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