2014年03月12日更新
中山登志朗氏が選ぶ注目のマンション<2014春>
2014年最大の経済イベントである消費増税が目前に迫り、景気の腰折れも懸念される状況ですが、本来、分譲マンションは住まいとして快適性や安全性が高いだけでなく、資産性にも十分配慮して選ぶもの。4月以降、消費税は建物価格に対して8%に引き上げられるため、その分総額が上昇することは間違いありませんが、将来売却する際に購入額の50%の価格でしか売れなければ、そのマンション購入は失敗と言わざるを得ません。
入口=購入はもちろん大切です。しかし、売却=出口戦略がはっきりと立てられそうな物件選びがそれ以上に大切であるという視点で、現在注目している物件を選びました。
※注目の物件はあくまで筆者である中山個人の見解であり、筆者が所属する(株)東京カンテイの見解ではありません。
インペリアルガーデン
文京区千石の低層物件です。広域立地(都心)、狭域立地(駅近)ともに申し分なく、敷地も大変ゆったりしているので居住快適性にも期待が持てます。また小石川植物園など周辺の生活環境の良さも加点材料です。英字表記はTHE IMPERIAL GARDEN LIMITED RESIDANCEで物件名も稀少性をアピールしています。100㎡超の住戸プランも多数用意されており、最近あまりお目にかからなくなった”都心に腰を据える”感覚の邸宅型物件です。設計・施工は前田建設工業です。
→詳細情報
王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス
北区の物件ですが、JR京浜東北線「王子」徒歩1分&東京メトロ南北線「王子」徒歩3分という狭域立地の良さが注目されます。また、隣には物件名にも使われている都内有数の桜の名所「飛鳥山公園」が広がり、季節ごとの借景を楽しむことができるという個別条件が魅力です。タワー棟とレジデンス棟がありますが、タワー棟の中層階までは、リビングから座ったまま満開のソメイヨシノを楽しむことができそうです。設計・施工は長谷工コーポレーションです。
→詳細情報
BAYZ TOWER & GARDEN
東京オリンピック招致が成功してから、ニーズが飽和状態に近づいてきたと言われた湾岸エリアが再び盛り上がりを見せています。湾岸エリアは、広域立地という点では都心近接でアクセスが良いのですが、狭域立地(駅近)物件となると数が限られます。この物件は「新豊洲」から徒歩6分で、今後、周辺環境が徐々に整ってくることが期待されますから、そうなると資産性も大きく”化ける”可能性を秘めています。”日本代表になろう。”とのキャッチコピーもオリンピックを意識したものでしょう。設計・施工は清水建設です。
→詳細情報
ザ・ヒルズ市谷薬王寺
都内には「山の手」と称される一帯があります。これは江戸城の周辺および西側の高台のことで、江戸時代には武家屋敷が建ち並ぶ”高級住宅地”でした。この物件もこの山の手に属するエリアにあり、広域立地と狭域立地ともに優れたマンションです。最近は設備や仕様、安全性など多岐に渡る要素でマンションが構成されていますが、本来は共同住宅としてのメリットを発揮しつつ、住宅地に溶け込むスタイルが一般的でした。この物件は、その意味で「都心の当たり前」が現在でも通用するかどうかが注目されるマンションです。設計・施工は鴻池組です。
→詳細情報
アトラスタワー曳舟
都内では「山の手」に対して水運と商業に適した「下町」というエリアがありますが、この物件はまさしく下町の良さ=利便性を享受できる物件だと思います。京成押上線「京成曳舟」徒歩3分で、28階建、総戸数233戸(非分譲住戸49戸)の駅前再開発物件です。東武スカイツリーライン「曳舟」にも徒歩4分で、京成線も東武線もそれぞれ都営地下鉄浅草線、東京メトロ半蔵門線に乗り入れていますから、都心へのダイレクトアクセスが可能です。東京スカイツリー効果でマンションが次々と分譲されるエリアに変わり、”新たな住宅地”となるかを注目しています。設計は佐藤総合計画、施工は戸田建設です。
→詳細情報
プラウドタワー立川
駅前再開発物件をもう一つ、今度は立川市です。JR中央線「立川」にペデストリアンデッキで直結の徒歩1分という立地条件は、狭域立地の良さだけでなく、生活利便性をも保証するものとして資産価値に有利に働くことでしょう。また32階建、総戸数319戸(非分譲住戸27戸)という立川では有数の規模の大きさも”地域一番物件”になりそうな可能性を持っています。これだけ条件が整っていると分譲価格にも注目です。設計は清水建設と松田平田設計、施工は清水建設です。
→詳細情報
プラウドシーズン井の頭公園
最後に広域立地も狭域立地もスペックとしては特段優れている訳ではありませんが(失礼)、人気の高い住宅地に開発される物件を紹介します。プラウドシーズンは野村不動産が展開する戸建分譲シリーズで、分譲マンションとは違って住環境や居住快適性=満足度を追及するスタイルですが、この物件は井の頭公園とほぼ一体となっており、公園を抜けて「吉祥寺」もしくは「井の頭公園」にアクセスする、緑豊かな生活が望めます。魅力的な物件ですから資産性も決して悪くはないと思いますが、それ以上に居住の快適性が楽しめると思います。設計・施工は東急建設です。
→詳細情報
アトラスタワー曳舟(売主:首都圏不燃建築公社・旭化成不動産レジデンス)現地約80m・23階相当よりスカイツリー方向を望む
- ㈱東京カンテイ 市場調査部上席主任研究員
中山 登志朗 不動産市況全般の調査・分析を担当。東京カンテイが発行する不動産市況レポート”Kantei eye”の編集長も務める。金融機関やデベロッパーからの信頼も厚く、講演など幅広く活動中。
不動産シンクタンクの上席主任研究員として、新聞・雑誌・テレビ・ウェブなどに数多くの原稿・コメントを提供している。