2009年12月02日更新
「建ぺい率」? 「容積率」?
今回もよくわからない不動産用語について説明します。
「建ぺい率」と「容積率」です。販売用の資料などにはパーセンテージで表されますが、
この用語も字面からだけではなかなか意味を理解できません。当然それぞれに重要な意味があります。
■建ぺい率
これは「土地面積に対する建築面積の割合(パーセンテージ)の上限」を表しています。
例えば、「建ぺい率」60%と定められている土地100㎡には60㎡までの建築面積が可能になります。
ここで文字の解説になりますが、”ぺい”に漢字をあてると”蔽”という字になります。
この”蔽”は”おおう”という意味があり、つまり「建ぺい(蔽)率」は「建築面積が土地面積をおお(蔽)う割合」
というわけです。ちなみに”蔽”が常用漢字ではないために「建ぺい率」のぺいは平仮名で表記されています。
身近な例として、駅前には立錐の余地が無いぐらいビルが密集していることがありますが、
これは様々な条件のもとで「建ぺい率」が80%・90%となっているために可能になっています。
逆に広大な敷地が特徴的な別荘地などでは20%というような、かなり限られた「建ぺい率」が設定
されていることがあります。
■容積率
これは「土地面積に対して建てられる延床面積の割合(パーセンテージ)の上限」を表しています。
例えば、「容積率」200%と定められている土地100㎡には200㎡までの建築延床面積が可能になります。
この「容積率」は「建ぺい率」とセットで考えるとわかりやすくなります。
例えば、「建ぺい率」60%「容積率」200%の土地100㎡(※他の条件は考慮せず)では、
建築面積(土地をおおう建物の面積=建ぺい)が土地面積の60%までですから、
1階あたり60㎡までの建物が建てられます。さらに建物の延床面積(=容積)が
土地面積の200%なので200㎡までの建物が建築可能です。1階あたり60㎡が上限ですから、
単純に同じ面積の建物を積み上げるとすれば3階建てにしても合計180㎡となり、
決められた「容積率」の範囲内の建物ということになります。
■用途地域
さらにこの「建ぺい率」「容積率」はその土地の用途を定めている「用途地域」によって異なります。
・住居系(第一種低層住居専用地域・第一種住居地域・準住居地域など)
「建ぺい率」=30%・40%・50%・60%
「容積率」 =50%・60%・80%・100%・150%・200%
・商業系(近隣商業地域・商業地域)
「建ぺい率」=80%
「容積率」 =200%・300%・400%以上
などとなり、地域によってそれぞれ細かく定められています。
また角地や接する道路によって「建ぺい率」「容積率」が緩和されたり、
制限されたりといったことがあります。
■こんなことにも注意!
実際に土地や建売住宅などを購入する場合には、不動産業者によく確認することが大切なのはもちろんですが、
思わぬ落とし穴になりやすケースには次のようなものがあります。
①そもそも違法建築
新築の建売住宅として販売されているものの中には、そもそも定められた「容積率」を超えて建物を建築されているものがあります。
もちろん法律違反ではありますが、建物が建ってしまった後は黙認されている、あるいは発覚していないケースがあり、
ある意味”確信犯”です。建物が建っている以上問題ないかと思いがちですが、
これはもちろん建て替えなどの際には同じ規模の建物が建てられませんし、中古で売る場合にも不利な条件になり得ます。
②既存不適格
中古住宅として販売されているものの中には「既存不適格」と言われるものがあります。①のケースと同様に、再建築する際、
既に建っている建物と同じ建物が建てられない(≒既存建物が容積率をオーバーしている・接している道路幅が
基準に達していないため既存建物よりも建築が制限される、など)ものです。
そのことを理解した上で購入するのであれば問題ありませんが、知らなかったでは後の祭りです。十分に注意してください。
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