2010年03月03日更新
住宅ローン金利のアレコレ
不動産広告のキャッチコピーには「低金利の今が買い時!」とか「月々の支払いは家賃並み!!」というような文言がおどっています。確かに、バブル時代の1990年頃には、公的融資でも5%台、銀行などの民間融資では7%台・8%台の住宅ローン金利が当たり前だったことを考えると、今の住宅ローン金利は非常に低い水準にあると言えます。
それでは金利の違いによって住宅ローンの支払いはどう変わってくるのでしょうか。
・借入金額3000万円で35年返済の場合を例にとると(※毎月返済のみ・ボーナス払無し)
<金利> <毎月返済額> <年間返済額> <総返済額>
1% 84,685円 1,016,220円 約3557万円
2% 99,378円 1,192,536円 約4147万円
3% 115,455円 1,385,460円 約4849万円
4% 132,832円 1,593,984円 約5579万円
5% 151,406円 1,816,872円 約6359万円
これを見れば、わずか1%金利が違うだけで毎月の返済額では約1万5,000円以上、年間では約18万円以上の差が出ることがおわかりいただけると思います。マンションで考えれば標準的なタイプの管理費にあたるぐらいの金額になるでしょう。そしてもし35年にわたって返済し続けたら、2%と5%の金利では2200万円を超える返済額の違いになります。
また少し視点を変えてみると
<金利> <総返済額> <利息>
1% 約3557万円 約557万円
2% 約4147万円 約1147万円
3% 約4849万円 約1849万円
4% 約5579万円 約2579万円
5% 約6359万円 約3359万円
ここであらためて気づかされるのが、そもそも借り入れる金額が3000万円なのに、金利5%での総返済額は借入金額の倍以上6000万円を超えています。つまり利息だけで3000万円以上払うことになるわけです。金利1%の場合の利息が約557万円ですむことを考えると、借入期間が長期にわたる住宅ローンでは金利の違いによっていかに大きな影響があるかがわかります。
こう考えていくとやはり「低金利」はマイホーム購入には大きなメリットと言えます。では実際住宅ローンを組む際はより金利の低いタイプを選択するのが良いのでしょうか?答えはイエスでもありノーでもあります。
住宅ローンには大きく分けて3つあります。
・変動金利型
固定型に比べて金利は低いが、半年に一度金利の見直しがあり変動リスクがある
・固定金利期間選択型
一定期間を固定金利として、その期間経過後あらためて金利のタイプを選択する
期間経過後の金利変動リスクがある
・固定金利型
一般に変動金利よりも金利は高いが、全期間金利は一定で変動リスクは無い
ごく簡単に解説すると、より金利の低い変動型であれば返済利息が少なくて済むわけですから、低金利がずっと続く限り総返済額も少なくなります。しかしその一方で将来大幅に金利が上がった場合には、当初から固定金利を選択していた場合と比べて結果的に多くの利息を払わなければならないリスクもあります。
以前は住宅ローンに関して”低金利時代には固定金利で、高金利時代には変動金利で”というのが定説になっていました。長期にわたって返済の続く住宅ローンでは当然の選択と言えますが、最近では事情が少し変わってきています。低金利時代にもかかわらず、変動金利型を選ぶ人がかなり増えてきているのです。
理由としては低金利時代が10年以上の長きにわたって続いていることに加えて、今後も当分金利は上がることは無いだろうという観測が多いことが挙げられます。さらに住宅ローンの種類が増え、これまでと比べると借り換えがしやすくなり、借り換えるためのコストも非常に低減されていることもあると思います。
マイホーム購入に欠かせない住宅ローン。絶対これと決められるものではありませんが、それぞれの特徴やメリット・デメリットをよく見極めて慎重に選択してください。
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