2010年09月08日更新
自宅売却の注意点
マイホームを買うときは、一生に一度の買い物だから、と誰もが準備をしてかかります。ところが売却となると、とたんに慎重さが足りないように思えるのですが、これは一体どうしたことでしょう。どうせ売ってしまうものだから、愛着も無くなってしまうのでしょうか。まあ、ある程度それはやむを得ないとしても、「いくらで売れるのか」は次の住まいを考える上で重要なことに変わりはありません。
たいていの人は、次の住まいのおおよその検討をつけてから、自宅の売却を考えはじめます。この場合、新居となる次の家の価格や入居時期によって、売り方に制約がかかる恐れがあることを、まず認識しておく必要があります。例えば、売却代金を購入資金のあてにするのならば、売却したい希望の金額を多少妥協してでも、入居までに換金することを優先しなければなりません。
不動産は相対取引です。売主の「売りたい」気持ちが、買主の「買いたい」気持ちを少しでも上回ると立場としては弱くなってしまいます。少しでも高い金額で売りたいのであれば、少なくとも相手と同等の立場に立てることが満足いく取引の前提条件になります。その手段のひとつとして、意外と知られていないのが”時間の有効活用”。例えば、人の心理とは面白いもので、家を買おうと思い立つ時期は似通った周期があるようです。例えば、年の始まり。今年こそマイホームを手に入れるぞ、と気持ちが高まるのでしょう。また、見学するのに良い季節、春や秋もムードが上がるといわれています。こうした人出が期待できるときは、不動産会社もタイミングを逃さないように広告を投下しますから、市場の活性化が期待できます。
売却活動でめぼしい反響がなかったと落胆しがちですが、「たまた市場の周期にあってなかった、次のシーズンまで待てばいい」と思えるかどうか。時間を有効活用しなさい、とアドバイスする仲介会社は決して多くないでしょう。成功報酬型である不動産仲介ビジネスでは、待ちましょうなどというアドバイスは、よっぽどことがない限り口にはしません。
その意味では、どんな会社、どんな営業マンに依頼するかも重要です。まずは査定を、とどの担当も言ってくるでしょう。たいてい簡易査定は無料ですから、実際にその通り、いくつかの仲介会社に頼んでみるのも良いと思います。査定を依頼すれば、媒介契約を結ばなければならないと勘違いしてしまう人がいるようですが、そんなことはありません。どの会社も査定金額が(近しい数字であったとしても)同じということはないでしょうから、その違いを納得できるまで、まずは聞いてみることです。話せば話すほど、こちらの立場で親身に考えてくれているかどうかがわかるものです。なかには手数料の減額をセールストークにする会社がありますが、これは要注意。たしかに魅力的かもしれませんが、いくらで売るか決まっていない段階で、手数料の差はさほど大きく関係するものではないからです。
最後に媒介契約の違いをまとめておきます。
■専属専任媒介契約
不動産会社を1社に限定。不動産会社は、指定流通機構(通称「レインズ」)への登録と1週間に1回の報告義務が課せられます。売却活動の内容が逐一把握できるものの、自ら買主を探してきた相手と契約する際は違約金を請求される場合があるなど売主側も拘束される側面があります。
■専任媒介契約
同じく依頼先は1社限定。不動産会社は、指定流通機構(通称「レインズ」)への登録と2週間に1回の活動報告が義務として課せられます。自ら買主を探せるなど自由さがあります。
■一般媒介契約
依頼者は複数の不動産会社に依頼できます。他のどの不動産会社に依頼しているかを通知する「明示型」と通知する必要がない「非明示型」があります。
- 家の時間
編集部 洗練された住宅の情報サイトはないの?本当に価値ある家、プロがすすめる住まいが知りたい―売り手の宣伝が中心となったサイトとは一線を画した、まったく新しい住まいのウェブマガジン「家の時間」。自分らしい家を探している高感度なあなたのために。読んで面白く、ためになる時流にぴったりな暮らしのコンテンツをご用意しました。