2010年11月02日更新
マイホーム選びの新たな基準「住生活基本法」
「住生活基本法」という法律をご存知でしょうか。これは2006年(平成18年)に施行された行政法で、良質な住宅の供給を目指し、そのための環境整備を目的としています。住宅の質を法律で明文化したわけですが、これは要するに今後日本の住まいはこうあるべきだというスタンダードを国が示したことになります。そもそも物件選びの判断基準は人それぞれによって異なるものです。マイホームなんだから、その善し悪しは自分の基準で判断するよ、という声は今も昔も変わりません。しかし、国が定めた基準をクリアしていれば、トラブル回避のリスクヘッジにつながったり、保険料が割安になるといった恩恵が受けられるとしらどうでしょう。さらに、将来売却するときに流通しやすくなる可能性があるとしたら…。資産性にも少なからず影響を与えることになるかもしれません。
「住生活基本法」では具体的な目標を期間で定めた全国計画を設定する、としています。その内容を一部紹介しましょう。
■良質な住宅ストック
* 新耐震基準の適合率を75%→90%に
* 共同住宅における共用部分のユニバーサルデザイン化率を10%→25%に
* 省エネルギー対策を講じた住宅ストック率を18%→40%に
* 適正な修繕積立金を設定しているマンションの割合を20%→50%に
■良好な居住環境
* 重点密集市街地の火災に対する安全性整備率を0%→100%に
■住宅市場の環境整備
* 住宅性能表示の実施率(新築)を16%→50%に
* 既存(中古)住宅の流通シェアを13%→23%に
* 住宅の利活用期間(耐用年数)を30年→40年に
* 子育て世帯の誘導居住面積水準達成率を37%→50%に
■配慮対象者の居住の安定確保
* 高齢者のいる住宅のバリアフリー化率を29%→75%に
「住宅市場の環境整備」の4番目に「誘導居住面積水準達成率」とあります。これは家族数に応じて、住まいの広さの基準を数字で示したもの。例えば、3人家族であれば「あなたは100㎡の広さを求めましょう」と国が呼び掛けているのです。しかも、この設定は地価の差やこどもの年齢によって細分化されてもいます。同じく3人家族を例に挙げると、「都市の場合は75㎡、かつこどもが小学校に入る前なら65㎡を目安に」と。
計画は2016年に達成したい数値目標として掲げています。前回の記事でも取り上げたように、住宅性能表の実施率などは厳しい現状にあります。とはいえ、新築分譲マンションに限ってみれば、50%を超えるレベルまで普及しており、すでにこの分野では「評価書付が多数派」といえます。これからマイホームを探す人は、住生活基本法の存在を頭の片隅にでも置いてみてはいかがでしょうか。この視点は、自ら意識しなければなりません。なぜなら、少なくとも親御さんからのアドバイスや不動産会社の営業マンが積極的に与えてくれるとは到底思えないからです。
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