2012年02月29日更新
42条2項道路とセットバック
土地を買って家を建てるなら、建築基準法などで定められた条件や規制を理解しておく必要があります。なぜなら、知らなかった制限があったがために、自分の想像していた大きさの家が建てられないケースがあるからです。土地面積に対し、延床面積の割合を示す「容積率」や同じく建築面積を示す「建ぺい率」は簡単に割り出すことができますが、それ以外にも考慮すべき法令が多々存在します。ここでは、42条2項道路とセットバックについて説明します。
建築基準法では、建物を建てるには幅員4m以上の公道や位置指定道路(私道)に2m以上接していなければなりません。ただし、4mを満たしていない道路でも、道路の中心線より2m(道路を挟んだ向かい側ががけや河川などの場合はその境界線から4m)までを道路との境界線にすれば、建築基準法上の道路とみなされます。この道路を42条2項道路または2項道路といい、境界線を後退させることをセットバックといいます。
42条2項道路に接道した土地に建物を建てる場合、セットバック部分は建築対象の敷地面積から除いて計算しなければなりません。したがって、自分の所有地ではありますが、建物面積には寄与しないことになります。不動産広告の土地情報では、備考欄などに「セットバック○○㎡含む」とあるのは、このようなケースです。
また、道路に関していえば、その幅員が容積率にも影響を与える場合があります。例えば、住宅地であれば、道路幅に0.4をかけた数値と用途地域別に指定された容積率の低い方を選択しなければなりません。したがって、セットバックを要した4m幅の道路では、たとえば指定されている容積率が200%であっても、4×0.4×100%で、160%に抑えられます。本来地域で定められている許容範囲の2割も小さい建物にしかならないということです。
こうしてみると「路線価」という指標があるように、“土地の価値は道次第”との側面のあることがわかります。ある程度の幅が必要であること、接道部分(間口)は広いほうがよいことなど。とはいえ、車線が多い交通量の激しい道路は住環境に適しているとはいえませんし、たとえほどほどの広さであっても抜け道のような道路もやはり騒音や安全面が気になります。
街ごと開発をかけて、近隣住民への配慮がなされた道路などは、車道と歩道を区別するだけでなく、緩やかな曲線をつけて車のスピードが出ないような工夫がなされている事例もあります。街並みを構成する要素に「道」の果たす役割がいかに大きいか。何よりも住んでいる人が一番実感していることなのでしょうけれども。
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