2014年07月10日更新
「プラウドタワー立川」分譲坪単価@342.5万円の根拠
JR中央線「立川」駅の新築マンションが坪単価@340万円超。さすがにこの値段には驚きました。「人気の駅直結タワー」とはいえ、”都心部!?”と思わせるほどの設定。これもアベノミクスの影響かと思われがちですが、どうもそれほど単純ではなさそうです。値付けの背景にはどのような根拠があるのでしょうか。
本日(7月10日)マスコミ業界関係者を対象に行われた『プラウドタワー立川』記者発表会では、事業主の野村不動産からこんな説明がなされました。「駅前再開発の分譲マンションは周辺相場の2割~3割増のプレミアムが付く」(住宅事業本部 住宅営業三部長 下川秀明氏)。同社は先頃、同じ「立川」駅徒歩4分の物件を同@253万円で分譲しています。「さらに南向きの比率や眺望などを加味した結果、3割以上の開きが生じた」(同)。
あわせて過去JR中央線で同社が分譲したマンションの事例も紹介。「立川」駅徒歩5分@285万円(2007年)、「武蔵小金井」駅1分@340万円(2007年)、「三鷹」駅3分@394万円、「荻窪」駅徒歩5分@380万円。さらに西武池袋線「大泉学園」駅前タワーでは@296万円(2013年)で即日完売するなど、立地次第で「駅名」から連想される相場感とはかけ離れることが有り得ることを例示しました。
さて、当プロジェクトを評価する前提として「立川駅周辺は独立した商圏」という認識が必要でしょう。その上で、
①JR中央線、南武線、青梅線、多摩モノレールが走るターミナル駅としての交通利便性の高さ
②都人口約1300万人の3分の1にあたる「約400万人が住む多摩地区の真ん中」というロケーションの優位性
③伊勢丹、高島屋といった老舗デパートに加え、「IKEA」(2014年)「ららぽーと」(2015年予定)等近年その展開を拡大する商業施設まで進出果敢なほどの市場規模を有していること
などが挙げられます。さらに昼夜間人口比率は100を超えており(2010年調査で113.1%)、「住む」に加え「働く」ための場所として利用されていることがわかります。昭和記念公園の「憩う」も含めると、暮らしに必要な機能が駅周辺に集まっていると認識せざるをえません。つまり「郊外の駅前」というより「(郊外)都市の中心」なのです。
最後に付け加えるべき事柄として、全住戸がワイドスパンであること(北向き住戸に至っては10.7~17.2m<9-15階>を有し、約180ヘクタールの昭和記念公園を望む)、天井高は約2.6mを確保するなど商品企画上の特長を挙げたいと思います。分譲対象住戸が9階以上で、タワー型マンションの単価が低く抑えられる階層が存在しないことも留意しておくべき点でしょう。
所在地 | : | 東京都立川市曙町2-500他(地番) |
交通 | : | ①JR中央線・南武線・青梅線「立川」駅徒歩2分 |
: | ②多摩都市モノレール線「立川北」駅徒歩1分 | |
総戸数 | : | 319戸(非分譲27戸含む) |
専有面積 | : | 55.01m2~108m2 |
販売価格 | : | 5,248万円~1億6,598万円(第1期230戸) |
入居 | : | 2016年8月下旬予定 |
構造/規模 | : | RC32階地下2階建(住宅フロア:9~32階) |
売主 | : | 野村不動産 |
販売提携 | : | 野村不動産アーバンネット |
施工 | : | 清水建設 |
→詳細情報
プラウドタワー立川
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)