2015年10月31日更新
「パークコート赤坂檜町 ザ タワー」平均坪単価@1000万円超えるか!?
今(2015年秋)、業界で話題なのが「パークコート赤坂檜町 ザ タワー」。三井不動産レジデンシャルが分譲するタワーマンションで、価格が坪換算で1000万円を超えるのではないかということです。超が付くほどの高級マンションは、三菱地所レジデンスが販売した「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」が坪800万円前後、森ビルが一般公開せずに分譲した「虎ノ門ヒルズレジデンス」は同等と噂されてはいましたが住戸フロアは高層階のみですから、一般的なタワー物件で1000万近い設定は驚きです。
敷地高低差が激しく、北に向かって切り下がっているため、現地を見ただけでは値付けに納得が得られないかもしれません。ですが、その傾斜をいかして巧みに緑と水盤を配し、「六本木」と「乃木坂」(駅まで徒歩3分)双方のアクセスを活用しやすいよう動線を設けています。また、地上からだけではわからない芝生広場の借景は希少性を思わせると同時に、スーパーも入る「東京ミッドタウン」隣接の利便は暮らしをイメージしやすいといえます。そのように考えれば、他と比較することができないくらいの価値を提示しても不思議ではないかもしれません。免震と制振を組み合わせた構造は安心感を向上させ、長期優良住宅認定であることも質の高さを表しています。
しかし、どれだけハイグレードに作りこみ、自信をもってそれ相応の値付けをしたとしても、買う人がいなければ相場は形成されません。最低価格1億5000万円台、2億円台住戸が50戸以上、3億円台が20戸以上程度(価格はすべて予定)のマンションが本当に売れるのでしょうか。結論から言えば、現在の集客状況を聞くにつけ「完売までさほど時間を要しないだろう」というのが感想です。詳しくは取材記事「<パークコート赤坂檜町 ザ タワー>市場記録を更新!?」を。
冒頭の2物件含め突出した相場を形成する傾向は、アベノミクス以後のこと。急速な円安を実現した金融緩和、それによる都心不動産に対する海外からの関心の高まり、株高、相続税改正など複数の要因が挙げられます。これまでの延長にない、極めて高質な物件の登場も理由のひとつでしょう。「二度と出ない」と思わせる魅力的な立地、本当に快適な空間設計。国内外の富裕層を満足させる商品がダブつくことなく、年間1棟程度のペースで供給されたことも好調の背景にあるでしょう。
分譲マンションのメインターゲットはあくまで一次取得層。そんな固定観念が無意識にあったかもしれませんが、都心市場に目をむければ一戸建てからの買い替えや面積減少の住み替えも珍しくはありません。眺めの良い暮らし、利便性重視のライフスタイル、安心安全に対して合理的な住まい方を優先するならば、マンションが一般的な選択になることのほうが自然な流れかもしれません。今後都心部のマンションは、どんなユーザー層が関心を持つかで個々の価格相場が大きく変動する時代になるでしょう。
■物件の詳細情報
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「パークコート赤坂檜町ザタワー」モデルルーム
- 『家の時間』主宰
坂根康裕 リクルート『都心に住む』『住宅情報スタイル』元編集長。ブログ「高級マンション TOKYO」。All About「高級マンション」ガイドも努める。著書に『理想のマンションを選べない本当の理由』(ダイヤモンド社)