2010年07月28日更新
ヨーロッパの旅 2 コート・ダジュール
前回に続き、今年訪れたヨーロッパの旅レポート第2弾は、
コート・ダジュール「紺碧海岸」について書きます。
南イタリアからローマに戻り、そこから空路ニースへ。
南仏も初めての場所だったが、南伊よりも街は清潔で美観が保たれ、
観光都市として整備されているのが見てとれる。
防犯面でも安全な雰囲気で、夜でも気軽に一人歩きできる感じ。
ナポリあたりでは常に手持ちのバッグに注意を払うなど、
ちょっと緊張していたので、南仏に移動してからの方がリラックスした。
ニースからサン・ポール・ド・ヴァンス、エズ、モナコと、
コート・ダジュールの街や村を周遊する。
ニースからどの場所もさほど遠くなく、モナコが電車で20分、
他はバスで1時間前後あれば着くため、ニースを拠点に簡単に周遊できる。
サン・ポール・ド・ヴァンスやエズは、中世に山の頂につくられた
「鷲ノ巣村」と呼ばれる、この地方独特の集落。
当時、サラセン人の攻撃を遮るために山の上に城壁を築き、
その中に迷路のような要塞都市がつくられた。
ニースからバスで40分ほど、丘の上にサン・ポール・ド・ヴァンスの
姿が現れた時は「わーっ」と声を上げたほど。
よく残された中世の街並は遠くからでもそれとわかり、
城壁の中に一歩足を踏み入れ、狭く曲がりくねった道を歩くのも感動的だ。
モナコ公国はF1で有名な、世界中のお金持ちが集まる、
世界で2番目に小さな国。
もっと人工的な都市を想像していたけれど、後ろに岩山が聳え、
前にはエメラルドグリーンの海が広がる美しい自然に恵まれている。
それで便利、安全なのだから、まさにお金持ちにとっては楽園なのだろう。
コート・ダジュールで印象に残ったのは、サン・ポール・ド・ヴァンスの
街並と、ニースのシャガール美術館。
特にシャガール美術館は作品点数が多く充実していて、想像していたより
ずっとよかった。
コーナーごとに展示されたシャガールの作品をじっくりと鑑賞しながら、
シャガールの世界にひたれると思う。
サン・ポール・ド・ヴァンスでもニースでも、美味しく素敵なビストロに
入ることができて、ワインも堪能した。
特にロゼが美味しくて、普段はロゼは選ばない私も、彼の地では
ロゼばかり飲んでいた。
。。。と、またもワインの話。。。
フランスも美食とワインの国だから、美味しいのは確かだけれど、
私はやっぱりイタリアに軍配を上げてしまう。
ソースやお皿の上のデコレーションに凝った料理を眺めて
上品に味わう、というよりも、
新鮮な素材をどーんとお皿にのっけてもらってわしわし食べ、
一緒にワインをぐびぐび飲んでこそが食の楽しみだ、という
私の庶民魂は、日本にいても海外にいても
やっぱり変わらないのでありました!
モナコの街を見下ろす。訪れたのが「モナコ・グランプリ」の直前で、
街はF1の準備真っ只中だった。
サン・ポール・ド・ヴァンスの小道で。季節外れの寒さで、
思わずブティックで売られていた毛皮のベストを買ってしまった。
エズで泊まったホテル「シャトー・エズ」のテラスからの眺め。この日はちょうど「中世祭り」が開かれ、当時の民族衣装をまとったアーティストが演奏していた。
鷲ノ巣村の一つ、エズの曲がりくねった坂道で。
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。