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中島早苗の「心地いい場所」

2010年09月01日更新

猛暑の日本の夏2010を振り返る

とにかく暑かった。
と過去形にするには早い、このテキストを書いている今日はまだ8月後半。。。

もっと若い頃は夏が大好き、
「ギラギラと照りつける太陽にパワーをもらえる!」とうそぶいていた私も
近年、とくに今年の暑さにはギブアップだ。

 最寄り駅へ行く道の途中、区役所前に
現在の時刻と気温が大きくデジタル表示されているのだが、
こう毎日35℃の報を聞いていると、
「31℃」などという数字に
「お!今日は涼しいな」とほっとしてしまうのだから、
やっぱり今年はおかしい。

 このおかしかった夏、振り返るにはまだ暑過ぎるが、
それでも空は昨日より高くなり、空気はほんの少しずつ乾き始めているから、
いつもの年と同じように、季節は間違いなく秋に向かって進んでいるのだろう。

 ということで、今年は猛暑の他、どんな夏だっただろうか。
 思いつくままにあげてみよう。
 たとえば。。。

 一つ。
 円高だった。
 今日(8月24日)現在、1ドル約85円だ。

一つ。
 所在不明の高齢者がたくさんいることがわかった。
 100歳以上の不明者は全国で200人超とも報道されている。

 一つ。
 エコカー補助金が9月末まで(それ以前でも予算がなくなり次第)で終了、
直前の駆け込み需要が増えているという。

 いっぽう家電エコポイントは今年いっぱいまで延長され、
住宅エコポイントも今年末までの予定だったが、
最長1年延長される見込み。

 しかし電気、住宅といえば、この暑さによるクーラー使用が一因で、
今夏の電力は記録更新するほど大量消費されたようだ。
 だからというだけではないが、これからの住宅は
エネルギー自給型へと変わっていくことは、間違いないと思う。

 マンションでもディベロッパーが次々に太陽光発電を導入、
ハウスメーカーも太陽電池や蓄電池を備える住宅を続々と開発、
エネルギーを自宅でつくったり売ったりできる次世代型住宅の
実用化に向け動いている。

 これから住宅を建てたり買ったりすることを検討している方は、
「エネルギー自給」をひとつの条件に、
住宅会社を選ぶのが賢いかもしれない。

 さて、それでは私の夏はどうだったのか。
 例年通り伊豆の海へ行って、それから。。。
そうそう! ちょっと変わっていたのは、数十年ぶり?に
盆踊りを踊ったこと。

 地元の自治会が企画する小さな夏祭りをのぞきに行き、
「東京音頭」や「炭坑節」を口ずさんでいるうちに、
懐かしくてつい、盆踊りの輪に加わりたくなったのだ。

 何でも都内、日比谷公園の盆踊り大会も今年、
近隣のサラリーマンなどで大盛り上がりだったそう。

考えてみればこの盆踊り、日本人の多くが子供の頃に夏祭りで経験し、
曲だってソラで唄えるほど親しみ馴染んだものだ。
 長じてからはすっかり踊ることもなかったし、自治会の夏祭りに
参加することもなかったが、この身近な夏のイベント、
何歳になったって楽しまない手はないではないか。
 参加方法は至って簡単、お祭りに顔を出し、輪に入って音楽に合わせ、
前に見える熟練のオバチャンに倣って体を動かすだけでいい。

 子供の頃は近所で開かれる夏祭りを心待ちにしたものだ。
 言ってしまえば新興住宅地の、盆踊りがあり露天が並ぶだけの
月並みなお祭りだったが、なぜあんなに楽しかったのだろう。
 きっと、夜、家族や友達と出掛けるだけで、
「The 夏休み!」という象徴に思え、楽しかったのだろう。
 あの頃は普段は早寝だったからなぁ。

 祭りの翌日、公園はやぐらが外され、後に脚立だけが残されていた。
 「東京音頭」や「炭坑節」の響きも懐かしくどこか切ないが、
祭りの後は何だか急に静かに感じて、やっぱり少しさびしい。

 秋はきっと、もうすぐですね。


今年訪れた、簡素なコテージ。
浜が目の前なので、絶えることなく引いては寄せる波音をBGMに、一日中過ごせる。
日本ではここまで波打ち際に近く建てられている宿泊施設はなかなか見つけられない。


大学生の時から夏を含め毎年行っている伊豆、下田の海にて。



地元自治会の小さな夏祭り。聴き慣れた笛の調べと太鼓のリズムに、
自然に体が動き出す。暑い夜だったが、星空の下で手足を伸ばすのは、
やっぱり気持ちいい。

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リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗
リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹 中島早苗

1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。

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