今年は早く梅雨が明け、節電に協力しなくてはならないのに
７月から猛暑日が続いている。
　熱中症で病院に運ばれる人も多い。
私の身内にもいたのだが、話を聞くとどうやら熱中症とは、
自分で気づかぬうちにかかってしまうこともあるらしい。
ぜひ皆さんもお気をつけください。

　そんな暑い夏を快適に過ごすアイテムとして今回あげたいのは、
リネン（麻）のシーツやタオルの布類。

　私は作家でリネンのショップ
LINNET http://www.lin-net.com/index.html
を運営している前田まゆみさんから教わって、
以来生活の周りに徐々にリネンを増やしていっている。

　麻のよさは、使ってみて実感するのがいちばんだが、
何でもリネンの繊維にはペクチンが含まれるため、
汚れが繊維の奥深くまで入り込みにくいのだという。
　また、吸水性もコットンの４倍ともいわれ、
たとえ水分を吸収しても素早く乾いてくれるため、
生乾きが続いたときにありがちな、嫌なにおいになりにくい。
湿気の多い日本で使うのに合っていると思う。

　寝具のシーツやピローケースとして使うと、
汗ばむような夏の夜にも体にまとわりついてこず、
まるでいつもちょうどいい距離を保つ
ちょっと淡白な性格の友達（あるいは恋人）みたいにサラッとして、爽やか。

　以前大手寝具メーカーの方に聞いたのだが、
安眠の条件の一つは「寝具の中に湿気がこもらず、
かいた汗が素早く放出される」ことなのだとか。
　最高級の寝具、真綿（繭糸で織った繊維）の布団がそうであるように、
リネンも乾きが早いため、快適な眠りに貢献してくれるのだ。

　リネンを使ったらやめられない。
　私も前田さんのように、洋服を手作りする才能があれば
ワンピースやスカートを作って着ていたい。
　前田さんは一年中（？　前田さん、違っていたらごめんなさい！）
ナチュラルな麻の手作り服をサラリと着こなしていて、素敵だなぁと思う。

でも。今ではミシンさえ持っていないもんなぁ。。と
わが身の不精を恥じる。

手作りといえば子どもの頃、夏休みには近所の手芸用品店が
手芸教室のようなものを催していて、
クーラーを効かせた店内で手作りバッグなどの材料を売り、
作り方を教えてくれた。

　その頃わが家にはクーラーは家族の寝室１室にしかついておらず、
専ら夜間、寝るためだけに使われていたので、
夏休みの昼間は涼みたい一心で、その手芸店に通ったものだ。

　節電のこの夏、自宅のクーラーを過剰に稼動させずに
家族が一緒に寝るようになったとか、
昼間は涼しい公共の施設に行くという声を聞く。

　そんな時、額に汗して手芸店に駆け込み、
夢のように涼しい別世界でバッグを手作りした
幼い頃を思い出したりするのである。

贅沢なリネンのカーテンが掛けられた室内。
リネンは値の張るものも少なくないので、これから試したい方は
まず小物、キッチンタオルなどから始めてみては。
（写真とリネン／すべてLINNET）

リネンの寝具は特に夏、サラリと快適な眠りに一役買ってくれる。

中島早苗の「心地いい場所」　バックナンバー