2011年09月28日更新
台風の爪痕
今年は日本にとって「水難」の年とさえ思えるほど、
水に関連した被害が多いのではないだろうか。
被害に遭われた方々に、あらためてお見舞い申し上げます。
紀伊半島に記録的豪雨をもたらした台風12号から
2週間と待たず、今度は15号が関東をも直撃。
21日の夕刻には首都圏の多くの路線で電車がストップ、
駅は帰宅しようとする人で溢れ返った。
こういう時、30分の判断の遅れが多大な損失につながり、
混乱に巻き込まれることがある。
30分早く会社を出ていたら、電車に乗っていたら。。。
それができなかったがために、結局どこかの駅で留め置かれたり、
帰宅が夜半になってしまったりした人も多かっただろう。
働く人を管理する側の方々に、
とりあえず今日は仕事はとっとと止め、続きは明日、さあ帰りなさい!
という素早い決断があったら、帰宅困難者にならずに済んだ人たちが
かなりいたのではないかと、渋谷駅でバスを待つ
長い行列の映像を見ながら、思ってしまった。
地震などの不慮の災害と違って、今回は台風で、
事前に本州を縦断することが十分予測されていたし、
しかも珍しいぐらいに首都圏直撃の予測が当たった。
それなのに。。
もちろん、どうしても終えなければならない仕事をしていたり、
持ち場を離れられない人もいたりしたことだろう。
そういう方々、場合を除いて、もっと早く的確な判断、行動をすることが、
今後ますます大事になってくるのではないかと思う。
ところで、今回の台風は東日本大震災の被災地にも
被害をもたらした。
震災後に避難所で暮らし、やっと修理した自宅に戻ったり、
仮設住宅に入居したりしている方々が、この台風でまたも避難。
自然災害とはいえ、何ともお気の毒で、ただただ同情申し上げるしかない。
今朝、出勤途中の家人よりメールで
「区役所前の街路樹が倒れてる!」と。
行ってみると確かに、大田区役所の庁舎の大木が倒れていた。
すぐ横のデジタル時計台に寄りかかるように倒れたが、
幸い怪我人はいなかったという。
渋谷の道玄坂でも、倒れた街路樹にタクシーが挟まれたと
ニュースが伝えていた。
都内だけでも240本の倒木が確認されているという。
街中で看板など人工的に設置したモノが飛ばされるのはよく聞くが、
こんなに多くの街路樹が一日で倒れたことは、これまであったのだろうか。
都内で大木が根こそぎ倒れているのを目の当たりにすると、
自然の勢いをより強く実感して、恐ろしいと思った。
どうかもうこれ以上、大きな被害が出ませんように。
宇宙は、地球は、人間の都合のよいように存在しているわけではないから、
我々にできることはせいぜい、過去の教訓を生かすことと、
祈ることぐらいなのだろう。
(2点とも)大田区役所本庁舎の倒木を撤去している様子。倒れかかってきた衝撃でデジタル時計が壊れたと見られる。
こちらは今年の8月17日に撮影した、同じ庁舎前の街路樹と時計台。1ヶ月以上前のこの日、木は確かに存在していて時計は動いており、丸山桂里奈選手も故障していなかった。。諸行無常。
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。