2012年02月01日更新
エコ住宅にリフォームすべきか、どうか
というお題を、雑誌『プレジデント』2012年1.2号
よりいただき、記事を書いた。
内容の詳細は雑誌に譲りますので、興味のある方は
ぜひバックナンバーをご購入ください！
お題をいただいた時、さまざまなことを考えた。
まず、「エコ住宅」という言葉が、急速に古びてしまったように
思えたこと。
３．１１以後は、という前置きを付け加えるのが、
正しいかもしれない。
『やっぱり住むならエコ住宅』（主婦と生活社刊）という
タイトルで本を出させていただいた2003年当時、
エコ住宅という言葉は新しい気がした。
確か当時は、住まいについて、
シックハウス症候群や欠陥住宅などが問題として挙げられていて、
そうでない健全な家としての「エコ住宅」を選びましょう、
という提案を込めて書いたものだ。
同様に、その頃から今まで書かせていただいた拙著や雑誌記事には、
「デザイン性」や「建築としての美しさ」、「街並み」などについても
考慮した家がいい家です、というような表現を繰り返ししてきた。
しかし、今はどうだろう。
上記したことはもちろん間違っていたとは言わないが、
家を建てる、選ぶ、リフォームする際の優先順位としては、
当時より下がったと言わざるを得ない。
今はもっともっと根源的な価値を
住まいに求める人が増えているのではないだろうか。
たとえば、光熱費ができるだけかからない家にしたい。
つまり、エコ住宅というよりは、ズバリ、省エネ住宅。
もっと基本に立ち返って言えば、「命を守ってくれる家」に住みたい、
というのが、今の家づくりにおいて多くの人が真っ先に挙げる、
条件なのではないか。
つまりは、耐震性に優れていて、巨大地震などでライフラインが
寸断されても、救援物資がくるまでの間、生き延びられる家。
また、先の見えない経済状況や社会不安があるだけに、
ローン支払いなど将来のリスクは最小限にとどめたいと考える人も多いだろう。
そうした点をおさえた、現実に即した
「命と暮らしを守る家づくり」が今、
多くの人が求めているもののような気がする。
そんな変化が見えているからこそ、
家づくりはこれまで以上に慎重にしたいと思うのだ。
お題の「エコ住宅にリフォームすべきかどうか」
という問いに、ここで短く答えるとすれば、
高い耐震性、省エネ性、バリアフリーを満たした
リフォームをおすすめします、ということになる。
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 
1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる！』『北欧流 愉しい倹約生活』（PHP研究所）『やっぱり住むならエコ住宅』（主婦と生活社）『住まい方のプロが教えるリフォーム１２３のヒント』（日本実業出版社）『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』（講談社＋α文庫）他。
