屋根に太陽電池を載せた「自家発電できる家」が、
ポピュラーになりつつある。
　メリット、デメリットの詳細は省略するが、
太陽光発電は個人的にはよいことだと思うし、
自分がもし新築するなら、搭載したいエコアイテムの一つである。

　次世代省エネ住宅、スマートハウスに欠かせないのが
自分でエネルギーをつくる「創エネ」で、
中で現在最も普及しているのが太陽光発電。

　太陽電池の出荷量は2009年度から大きく増加、
理由の一つに、価格の低下がある。
　数年前は１kW当たり70万円前後したものが、
50万円前後まで低下、補助金分を差し引くと、
30万円台で買える商品もある。

　ここまで下がれば、戸建て住宅の標準的な
４kWのシステムにしても、100万円台で
設置できるから、新築時に検討しやすい
エコアイテムになったと言える。

　ハウスメーカーでも、太陽電池住宅を
標準仕様に据える会社が出てきた。
　現在、紙のような薄さの太陽電池も
研究、開発されているというから、今後が楽しみである。

　ただ、かなりの荷重をかけて屋根に載せ、
日当りの面積と時間によって電力を得るというシステムなだけに、
採用する機会としては、一戸建ての新築時が多いのではないか。

　逆に言えば、現状ではそれ以外、つまり
既存の中古住宅への普及や、新築でも集合住宅で
各戸が利用できる建物が増えるには、
もう少し時間がかかりそうだ。

　たとえば、既存の中古住宅では
平均すると新築の２．２倍程の設置件数と、
数としては新築を上回っているものの、
建物の軒数全体から見た普及率の面では
新築に遠く及ばない。

　その理由は、屋根の状態や素材、向きが適合しない、
ローン審査が通らない、などなど。

　しかも、国が政策として進めている
今が売り時とばかりに、新規参入や
大手会社の新規事業化も多く、
技術開発やメンテナンスが伴っていない
会社もあるのでは。。と心配にもなる。

　発展途上にある機器なだけに、
不安材料や解決すべき問題はあるが、
それでもやはり、
もし自分に今後チャンスがあれば、
よく比較検討して太陽電池搭載の建物を選びたいと思う。
各地で実験が始まりつつある、
スマートシティなんかも興味がある。

 

さいたま市に建つ、太陽電池を搭載した住宅。太陽電池容量は5.44kW。写真提供：（株）日本エコシステム（２点共）

同、福岡市に建つ住宅。太陽電池容量は3.67kW。

 

　震災以降、各地で操業を停止している原発は
運転再開の見込みが立っているものがほとんどなく、
今年も電力不足が心配されている。
　引き続き節電によって需要を抑えながら、
太陽光発電その他の、新たな創エネを促進していくことが、
これからのスタンダードになるだろう。

　あの３・１１から、もうすぐ一年になる。
　あらためて、お悔やみとお見舞いを申し上げ、
本当の意味で、家が、社会が、国が
「スマート」になっていくことが、
犠牲になった方々への鎮魂につながると思う。

中島早苗の「心地いい場所」　バックナンバー