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中島早苗の「心地いい場所」

2013年07月24日更新

収納が苦手な方へ

 先週に続き、収納、片付けを考えてみよう。

収納というテーマを考える時、いつも思い出す
とあるご夫婦の家がある。
 そのご夫婦は、素敵な木造の一軒家に住んでいた。
 仮にKさん夫妻としよう。
 Kさん宅は思わず羨ましくなるほど優雅な暮らしぶりだったが、
驚いたのは、モノがとても少なかったこと。
 必要なだけのモノを取捨選択して、
使う数だけ置いてある、という感じ。

 だからクローゼットの中も、すかすかだ。
 おそらく今シーズンに買われただろうと思われる
新しいシャツ、パンツ、ジャケットが
モノトーンで3、4色ずつきれいにアイロンされ、
ご夫婦それぞれのクローゼットに、余裕をもって掛けられている。
 ウチのクローゼットの中みたいに、ぎっちり詰め込まれて
服が互いを押し潰しているとか、奥の方の服が見えないなんてこともない。

 でも考えてみたら、服の数はそんなもので十分足りるのだ。
 しょっちゅう着まわしている服なんて、せいぜい3、4パターン。
 それ以外は結局、持っているのに着ていない服。
 着ていない服の率。。。おそろしくて数えていないが、おそらく9割以上。
 そう思うと、K夫妻のように季節ごとに厳選して
着られる服だけを持ち、収納している方が、よっぽど理に叶っている。

 今回は収納のプロ、住友林業クレスト
の三枝早苗さんにうかがった話も紹介したい。

 三枝さんの肩書きは「収納セラピスト」。
「なぜセラピストかといえば、収納や片付けは
心に密接に関わっているから。
捨てる、整理することはストレスにもなるので、
ストレスを軽くしてあげ、楽しく生活してもらいたいのです」(三枝さん)。

 また三枝さん曰く、うまくいっていない人の収納は
「空いているから、という理由だけで適当にものを入れていった、
『とりあえずの積み重ね』状態」。
その解決にはリセットが必要なのである。
 まず一箇所ずつ、入っているものを一度全部出してみる。
 出したら、頻繁に使っているものを手前に置くように、
あるいはもっと別の使いやすい場所に移動するようにより分ける。

そして長期間(2年以上)使っていないものは
「捨てる予備軍」として取り出す。
予備軍の中から、古い衣類、履いていない靴などは思いきって捨て、
新品同様できれいなものはバザーやリサイクルショップへ。
思い出の品は、写真を撮ってデジタル保存する。
捨てる決心がつかないものはダンボール箱などを利用して
「とりあえずボックス」として蓋をし、
数ヶ月経っても使わなかったら中を見ずに捨てる。

三枝さんは言う。
「片付けの利点は沢山あります。
まずは①精神的効果。片付かない部屋で
イライラしていたストレスがなくなります。
②時間的効果。ものが無造作に散らばっていなければ、
掃除機をかける時間が短縮されます。
また、ものを『捜す時間』が、『使える時間』に変わります。
③経済的効果。持ち物を把握、見える化すると、
持っているのに重ねて買ってしまうムダを省けます」。

 わかっていても、なかなか時間をつくれない。。という方は、
一度、片付けに要する時間を計ってみるとよい。

 私が実践している方法だが、たとえばベッドサイドとか、
洗面台回りとか、なるだけ小さなスペースを選んで、
片付けるのに何分かかるか計ってみる。
 経験のある方ならわかるだろうが、
これが思ったより短時間だったりするのだ。


コートやジャケット、ワイシャツなどを吊るして収納するパイプの長さは、
大人一人3m、子ども2mを目安にするとよい。またパイプは上段2m、
下段1mの高さに設置、上段に男性の衣類を中心に吊るすと、
無駄なく夫婦の服が収納できる。(取材協力・写真/住友林業)


 

 一通り片付いた後時計を見て、
始めてから20分、30分しか経っていないことに気づくと、
「あれ?」という感じ。
 なーんだ、たった数十分のことがイヤで、
今まで手をつけなかったの、私ったら。
 それで何ヶ月も片付かない場所を見ては
ストレス溜めてたの?と思うこともしばしば。

「時間を計る」というのは、
確かテレビのハウツー番組で知ったのだが、
私には大いに役に立っている。
「そこの片付け、大変そう。。」と思っても、
「30分あればとりあえずは片付く」と思い直せば、
今やってしまおう、という気持ちになるかもしれない。

 片付け、収納は大仕事なので手をつけられない。。
と、ついつい後回しにしている方、一度お試しあれ。


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リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗
リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹 中島早苗

1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。

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