鍋のおすすめは？と聞かれたら

　まず私が挙げるのが、フランスはストウブ社の
鋳物ホーロー鍋だ。
（ごめんなさい。ここまで書いて気づいたが、
タイトルを読んで季節柄、「鍋料理」のおすすめかと
期待した方がいらっしゃるのでは。。
　今回は料理ではなく、調理道具の方の話です。）

　わが家で毎日のように活躍している赤いストウブ鍋は
友人達からのいただきものだが、
使う度、これほど有難いプレゼントはないと感謝している。

　鍋やフライパンなどは、結婚や家を新しくするなど
人生の大きな節目、お祝い事の際にいいものを
揃える、プレゼントされる以外は、
必要な時にとりあえず買い足していったものを
毎日なんとなく使っていることが多いのではないだろうか。

　薄手の安価な鍋でも、用は足りてしまうし、
食器と違って滅多に割れたり壊れたりしないから、
捨てて買い替えるのはなかなかに勇気が要る。

　しかし、しっかり作られた名品ともいえる鍋を使うと
違いは歴然とする。
　鍋ほど、安物と名品の違いがわかるものはそうないと思う。
　ストウブの鋳物ホーロー鍋もその一つで、
数万円する高価なものだが、その価値は十分にある。

　調理時間が短くて済むことや、長く強火で煮炊きしても
焦げないなど、高性能なのは構造からも想像しやすい。
　一番驚くのは、出来上がったものが格段に美味しいことなのだ。

　自分の同じ料理が、他の鍋で拵えた時に比べて
断然美味しくなるのは、なぜなんだろうと思ってしまう。
　製品の構造ほか詳細はネットなどで調べていただくとして、
ここは使ってみての感想だけ書いてみよう。

　たとえばご飯。
　わが家は玄米ご飯をこのストウブ鍋で炊くのだが、
とにかく美味しく炊き上がる。
　土鍋で炊いていたこともあったが、
ストウブ鍋を使い出してからはもう、こちら一筋。
　電気釜などは何年も使っていない。
　だって断然、美味しいんですもの！！

毎日のようにお世話になっている、わが家のストウブ鍋、ピコ・ココット。
難点を探すとすれば、重いこと。女性は片手では持ち上げられないかもしれない。以前、取材した家の奥さんが「若い時は重宝して使ったけど、年をとったら重くてダメねぇ」とぼやいていたのを覚えている。

　土鍋炊きよりも、米の一粒一粒が
しっかりと弾力を保ったまま、香ばしく炊き上がる。
　煮豚や切干大根の煮物なども短時間で上手に出来るし、
何でも中に美味しさを閉じ込めたまま
ふっくら仕上がるのが特徴のように思う。

　もしも鍋をお探しで、ちょっと高価でも
いいものを買おうとプランしている方。
　かなりおすすめです。

　他にもおすすめの調理器具は幾つかあるが、
長くなるので次回以降、また折を見て紹介させてください。

リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹 中島早苗: 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる！』『北欧流　愉しい倹約生活』（PHP研究所）『やっぱり住むならエコ住宅』（主婦と生活社）『住まい方のプロが教えるリフォーム１２３のヒント』（日本実業出版社）『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』（講談社＋α文庫）他。