2013年12月25日更新
師走の大掃除
師走ですね。
というより、この回がアップされる日はもうクリスマス!
皆さま、メリークリスマスです。
今年1年も、なんと早く過ぎたことでしょう。
昨年卆寿を迎えた義理の祖母は、
「この歳になると10年が束になってやってくる」と
言ったそうで。
本当にそんな感覚なのかどうかの確認は、
卆寿を迎えた時のお楽しみ。
本題ですが、皆さまは師走の大掃除、されますか?
私は、どうしても気になる部分だけやり、あとは毎年
「何もこんな寒い時にやらなくたって、
暖かくなったらやればいいや」と自分に言い訳をしています。
ところでふと、今の世の中、果たしてどれくらいの人が
師走に大掃除をやっているのだろうと、気になりました。
私の幼い頃はまだ、家族総動員で数日かけて大掃除をしている光景が、
近所でも自宅でも師走の風物詩として、当たり前にありました。
畳をおもてに出して埃を叩いているおじさんあり、
割烹着とほっかむりをしてはたきをかけているお母さんあり。
その日は私も弟も担当を割り当てられ、
私は冷蔵庫の中や、茶箪笥の中なんかを掃除した記憶があります。
昨今の実態はどうなっているのでしょうか。
というわけで、幾つか調査結果に当たってみたら、意外や意外。
調査によって違いはありますが、今でも半数以上の人が
大掃除をしている、という結果が多く見られました。
たとえば、ショッピングブランド「SHOP JAPAN」を展開する
オークローンマーケティングの2012年調査によれば、
20~49歳の既婚女性630人のうち、
2011年に大掃除をした人の割合は73.8%。
他の調査を見ると、今年あたりはもっと減る傾向にあるようですが、
それでもこの高い割合には正直、驚いてしまいました。
大掃除に費やす日数で最も多い回答が、2日。
ついで1日となっていて、2日と1日の割合を合わせると
50%を超えており、最後の週末を大掃除に当てる人が最も多い結果から、
ほとんどの人が最後の週末に、普段できない場所まで
掃除をして新年を迎えよう!と努力している姿が浮かんできます。
もともと大掃除は、正月に歳神(としがみ)さまを迎えるに当たり、
その前の年の暮れに大掃除をし、玄関に注連飾りをするなどした
古い習慣という説があります。
注連飾りはその家が清浄な証で、歳神さまが訪れる目印だったとか。
鎌倉時代に伝えられた禅宗では、
一掃除、二座禅、三看経といわれるほど掃除を基本にし、
雑巾は浄巾(じょうきん)と呼ばれたそうです。
釈迦は弟子達に「掃除の五功徳」を説いたとされます。
一、自分の心が清らかになる
二、他の人の心を清らかにする
三、この世のすべての存在が生き生きとする
四、すっきりと美しい行為の種がまかれる
五、死後、必ず天上に生を受ける
上記の掃除の歴史は、清掃用品などの製造、販売を手がける
テラモトのウェブサイト
にまとめられ、面白く読めます。
日本の多くの人は、今も大掃除をやっている。
いつも気になっているのに放置している汚れを落とすのに
1日か2日、師走の時間を費やすのも悪くないと思えてきましたか?
私はこのリサーチに背中を押されました。
掃除の五功徳も思い出して、大掃除をし、清らかな家で
新年を迎えようと思います。
皆さまもどうぞ、よいお年をお迎えください!
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。