2014年12月25日更新
有料老人ホームの選び方
近年急速に数が増えている、有料老人ホーム。
しかし、費用や提供するサービスの幅がきわめて広く、
何を基準に選べばよいのか迷ってしまう。
今回は有料老人ホームの種類や、
選ぶ際の注意点などをまとめてみた。
全国で31万人以上が利用し、施設数約8500軒の
有料老人ホームには次の3つの種類がある。
①介護付き有料老人ホーム
各都道府県により、「特定施設入居者生活介護」の
認定を受けている介護施設。
全国で約3300施設あり、有料老人ホームの中で
もっとも利用者が多い。
基本的に常駐する介護スタッフにより介護サービスが
提供される他、毎日3度の食事をはじめとした健康管理、
掃除、洗濯、入浴、排せつなどのサービスが提供される。
認知症を含め、介護が必要な人の居住施設だが、
自立の人も入居できる「混合型」と「自立型」と
呼ばれる施設もある。
②住宅型有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームと違い「特定施設入居者生活介護」を
受けていないため、介護スタッフは常駐しない。
介護が必要な人は訪問介護など外部のサービスを利用する。
提供されるのは食事、室内と施設内の最低限の清掃、
緊急時の対応程度。
③健康型有料老人ホーム
健康で自立した高齢者が入居する施設で、
介護が必要になると退去することになる。
近年はほとんどつくられておらず、数は全国で15施設ほど。
つまり、今あるほとんどの有料老人ホームは①か②だが、
①と②の大きな違いは、施設内で常駐の介護スタッフによる
介護サービスが受けられるかどうかだ。
① の介護付きは要支援1~2、要介護1~5まで、
全ての人が1割の定額の自己負担で介護が
24時間365日受けられる。
それに対して②は外部の介護サービスを利用するため、
利用限度額を超えた分は自己負担になり、
介護度が重くなると幾ら費用が増えるかわからない
不安がある。
一方、3種類全てに共通しているのは、
主に65歳以上が入居の条件で、費用は入居一時金と
月額利用料がかかる点。
入居一時金は0円の施設もあるが、ほとんどが数百万円から
数千万円、中には1億円などと高額な施設もある。
月額利用料もまちまちだが、
目安としては12万円から30万円程度。
内訳は賃料・管理費・食費・光熱費などだが、
その他に1割の自己負担が必要になる介護保険料や医療費、
オムツ代、クリーニング代などの雑費がかかる場合がある。
入居一時金の一部は入居時に初期償却され、
残りは償却期間内で少しずつ償却される。
償却期間内に退去した場合は、未償却分が返還される。
自分に合ったよい有料老人ホーム選びは難しいのが実状だが、
必ず確認したいのが、受けられる介護サービスの形態。
とくに認知症の場合は②などの外部サービスだと
自己負担が重くのしかかる可能性もあるため、
私なら①の介護付きをおすすめする。
本文とは直接関係ないが、シーズンなので最近撮った写真をアップ。クリスマスツリーは泊まった宿のホールに飾られてあったもの。料理のテーブル(下)は、友人宅で催されたクリスマスパーティの時のもの。イギリス人のご主人とイギリスで出会ったという日本人の夫人は、イギリス暮らしが長かったこともあり、トラディショナルなイギリス流クリスマス料理を用意してくれる。
詰め物をしたターキー丸焼き、スコティッシュスタイルキングサーモン、ローストビーフ、ローストラム、キッシュなどなど。デザートはブランデーをたっぷりしみこませたクリスマスケーキ、シェリートライフル、ミンスパイなどなど。これまで海外含め、クリスマス料理の取材は何度もさせてもらったが、この友人宅の料理は見た目が豪華なだけでなく、味もとても美味しいのに感動。ちなみにトップページの写真は箱根大涌谷から見た富士山。好天に恵まれ、真っ白く雪化粧した美しい富士をカメラに収めることができた。
中島早苗の「心地いい場所」 バックナンバー
- リビングジャーナリスト・「家の時間」編集主幹
中島早苗 1963年東京生まれ。日本大学文理学部国文学科卒。アシェット婦人画報社で12年在籍した住宅雑誌『モダンリビング』を始め『メンズクラブ』『ヴァンサンカン』副編集長を経て独立。約20年間400軒あまりの家と家族、建築家、ハウスビルダーなどへの取材実績を基に、「ほんとうに豊かな住まいと暮らし」をテーマとして、単行本や連載執筆、講演等活動中。著書に『建築家と家をつくる!』『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)『やっぱり住むならエコ住宅』(主婦と生活社)『住まい方のプロが教えるリフォーム123のヒント』(日本実業出版社)『建築家と造る「家族がもっと元気になれる家」』(講談社+α文庫)他。