2014年01月22日更新
リフォームの際のショールーム活用法
新築住宅に限らず、リフォームでもショールームを上手く活用することは、建築やインテリアを成功するための重要な要素となります。全くリフォームの計画が具体化していない段階で、なんかのキッカケ作りを兼ねて散歩がてらにショールームに行く場合と、ある程度リフォームの計画が纏まってきた段階で、目標を定めてショールームを訪問するのでは全く考え方が違ってきます。今回は後者のケースでのショールーム活用法について考えてみたいと思います。
ショールーム(以下略してSRとします)といっても戸建住宅やマンションリフォームそのものを展示するものやパナソニック社のように1社でほとんどの建材を揃えている大型SR(色々な製品が複合的に展示されるので複合SRともいいます)から、各種建材や小さなドアノブの使い勝手まで体験できるSR(単独SR)まで幅広くありますので、まずどんな種類のSRがあるかを理解することから始めましょう。建材としては、仕上げ材であるフローリング、壁、タイル、建具(ドア)と窓、壁紙やカーペット、下地材の石膏ボードや断熱材のSRがあります(ただ下地材系のSRはプロ向けなので、ここまで実物をチェックしにゆく必要はありません)。設備系では、キッチン・浴室やトイレ、水栓(水道の蛇口)金物や照明器具・ガス機器等を展示するSRがあります。
これだけ沢山あるSRを見てゆくためには、まずはSR自体の考え方、使い方を体感するためには大きな複合SRから始めるのが良いでしょう。先のパナソニックやリクシル、TOTOグループ等がこれに該当します。どんな新商品が出ているのかを一目で確認できて、機器類の実際の使い勝手を試せるコーナーや、子供連れでも大丈夫な工夫などがあり、予約なしでも大丈夫なこともポイントです。大きなところでは、土日にはセミナーやイベントなども開催されているので、上手く情報を仕入れたいところです。ただ、大手だけでは、情報がかたよってしまうので、自分にとってコダワリの部分やもっと情報を仕入れたいと思った建材・設備は、インターネットも使って他にどんなショールームがあるかを確認してみましょう。例えばキッチンでは、上記3社を始め、クリナップ・タカラ・トーヨーなどが大手ですが、オーダーキッチンのSRまで加えれば数限りなくあります。それら全て周っていては、何年経ってもリフォーム計画は進みませんので、ホームページを比較検討することで、訪問するSRを絞ることも必要になってきます。小さくて個性的な製品を扱っているSRになると、事前に電話で予約をしないと対応してくれない所もあります。面倒な部分もありますが、きちんと訪問の目的を説明して、事前に今の住まいのプランを送っておくと、お試しのプランを作ってくれたり、そのプランにあった製品を事前に用意しておいてくれたりするので、じっくりと話を聞いてみたい場合には、満足度も高くなります。一つのSRの説明を聞くと、一通りその製品のトレンドや価格構成が判ったような気になってしまいますが、常に2つずつ比べてゆくことも重要なポイントです。アドバイザーに説明して貰っていると良いこと尽くめに感じられますが、他社と比較することによって、デメリットが見えていることも多いのです。
リフォーム工事を依頼する工務店や設計者が決まっている場合は、その担当者と一緒にショールーム周りをするのもお勧めです。要望に対して高すぎる製品や検討するに値しないアイテムを飛ばしてみることができるので、時間短縮することができます。一つのSRを丁寧にみると2~3時間程掛かるので、どれだけ効率的にみることができるかも重要なのです。また、大手の製品だけでなく、個性的なSRを上手く組み合わせることで、選択肢を増やすことにも役立ちます。
最後にSR巡りのポイントを纏めておきます。
■SR巡りの最初は大手・複合SRから
(最近のトレンドや自分のコダワたい部分を見付けたい)
■セミナー・イベント・見学会などの情報を仕入れて活用する
■インターネットで各社のホームページを比較して、訪問するSRを絞る
■事前予約で訪問目的をはっきりしておくことで、必要な情報を上手く引き出す
■一つの製品に対して、2社以上のSRをまわって、メリットとデメリットを比較する
■工務店や設計事務所の担当者と一緒に効率的に回りたい
■個性的な製品を扱っている小さなSRも幾つか見ておきたい
オーダーキッチンのリブコンテンツのSR。個性豊かなキッチンが生活感豊かに展示されている
ステレオ・音響設備メーカーのバング&オルフセンのSRは音の違いが実際に体験できる
水栓・洗面ボウル・水廻り金物のセラトレーディングのSR。ユニークなデザインの金物類は一見の価値ありです
珍しい子供用家具・インテリア専門のヴィベルのSR。子どもを夢中にさせるSRの中での打合せが可能
サイズや入り心地が体験できる浴槽メーカー・ジャクソンのSR
- 建築家
各務 謙司 (カガミ ケンジ) 1966年東京都港区生まれ。早稲田大学大学院終了後、ハーバード大学大学院に入学。留学修了後、94年にニューヨークのCicognani Kalla設計事務所勤務。マンハッタンの高級マンションのリノベーション、郊外の別荘等を担当する。帰国後、生まれ育った白金台に設計事務所を開設。古くなった建物にリフォームで手を加え、住まい方にあわせカスタマイズし、生き返らせることを活動の一つの柱としている。
カガミ・デザインリフォームhttp://www.kagami-reform.com/